小学校から過労死防止を学ぶ「ワークルール教育」で過労死は防げるか
「ワークルール教えられると困る」経営者側の懸念にどう答える?
広がりつつあるワークルール教育だが、推進法の成立や、さらなる拡大には課題もある。ワークルールの正しい認知が広がれば、これまで若い労働者を使い捨ててきたブラック企業などの経営者は今までのような雇用形態を維持できなくなる。一部の経営側からの反発も予想される。 これに対し、議連の事務局長を務める石橋通宏参院議員は「この法案は決して労働者を守るためだけに作るのではない。労働法令を無視し、労働者をこき使って労働コストを引き下げ、競争に勝って金儲けしようとするような企業を許したら、従業員を大切にして頑張っている経営者が報われず、社会のためにもならない。法案は真面目に頑張る企業の応援にもなる。社会からとんでもない企業が排除され、健全に発展していく環境を作りたいと思っている」と話し、企業間の正常な競争を促すためにもこの法案の成立が必要だと訴えている。 また、実際にワークルール教育をやっていく上で講師などをどう確保していくのかなども課題だ。菅弁護士は「現状は、教材なども弁護士が業務の合間を縫って自ら作っているような状況で、手弁当でやっている」と説明する。「法案が通ることで、ワークルール教育を進めていくための人材の確保や共通の教材づくりなど予算が必要な課題に道筋ができてほしい」と話していた。 (取材・文/高山千香)