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店への張り紙や落書き...広がる『自粛警察』なぜそこまでやるのか?専門家に聞く

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最近、『自粛警察』という言葉を耳にするようになった方がいらっしゃるのではないでしょうか。外出や営業の自粛が呼びかけられる中で、“パトロール”などと称して、自粛をしていない店などに対しネット上で中傷したり、中には実際に嫌がらせを行ったりする人たちがいます。なぜこういう現象が起こるのでしょうか。

「さっさと店閉めて大人しく寝てて」

大阪・心斎橋にある美容院「hair salon MADE」。5月13日午後9時ごろ、入り口のドアに張り紙が貼られているのが見つかりました。その張り紙には、こんな文言が書かれていました。 【張り紙】 『さっさと店閉めて緊急事態宣言が終わるまで家で大人しく寝ててください。次、発見すれば通報します。』 これについて、店のオーナーは… 「生きていくための仕事はしないとだめだし、それぞれの考えがある中での営業だと思うので、あまり自分の道徳を人に押し付けるのはよくないかなと思う。」(オーナー)

他にも、大阪・心斎橋にあるバー「ギリギリ配信者BAR『来月きっと潰れます』」では、入口のドアに落書きされているのが見つかりました。鍵穴には接着剤のようなものまで詰められていました。店は、4月1日からインターネットで常連客と会話をするという形の営業をしていました。 「すごく怖かったです。」(店員 丸顔みんさん)

SNS上にもあふれる“非難の言葉”

今、SNSには自粛要請の中、営業を続ける店などを非難する言葉があふれています。 【SNSに投稿された言葉】 「さっさと潰れろ」 「コロナ感染するから店閉めろ!」 「パチ屋営業やめろ」 自治体にも、「あのパチンコ店に行列ができている」「あのバーが営業している」というメールや電話が連日寄せられていますが、こうした行為はネットなどで『自粛警察』と呼ばれています。

自分の行動に対する責任感が麻痺

こうした「自警団」のような動きに対して、甲南大学文学部の田野大輔教授は警鐘を鳴らします。田野教授の専門は、第一次世界大戦後にイタリアやドイツに現れた思想や政治運動「ファシズム」です。今回、オンラインで話を聞きました。 「国民の行動も非常に暴走気味になっている。(日本は)政府としては自粛してくださいねというお願いだけで、国民の側は何をしたらいいのかよくわからないので、自助努力と周りの人に対する監視によって何とかこの危機を乗り越えようという形になっているので。不安が大きくなるということで、感染予防に協力していない人に対して同調するよう圧力をかける、そういう傾向が生まれているんじゃないか。」(甲南大学文学部 田野大輔教授) 新型コロナウイルス対策として外出に罰則を設けるなど強い措置をとるヨーロッパに比べて、日本ではお願い型の「自粛要請」が成り立つ理由について、田野教授は、日本では「同調圧力」が事実上の強制力として作用しているからではないかとみています。 ―――市民が市民を監視するような気持ちが発生することと、“ファシズム”につながりはある? 「政府が自粛を要請をしているという大義名分で、個々人は正義の側につくことになるので、他人に対してかなり強い口調で何らかのことを要求できると。弱いモノいじめみたいなもので、権威に服従していると、その指令の下に自分は動いているという感覚になるわけですね。そうすると、自分の行動に対する責任感が麻痺して、かなり酷いことでもやれてしまう。」(田野教授) また、田野教授は、休業要請に応じないパチンコ店などの名前を自治体が公表したことが「自粛警察」を煽った側面も否定できないと指摘します。 ―――店名を公表するということは、社会的制裁を受けるということになるわけですよね。田野教授はどう見ますか? 「非常に日本的というか、人々の『他罰感情』を煽るようなやり方で、非常に危険だと思います。それがおそらくは大きな原因となって、自粛警察のような行動が出てきてしまっているわけです。」(田野教授)

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