Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

ミニシアターに支援続々 2週間で約2億円集まる

配信

週刊金曜日

 延期作品が120本以上に! 『CINEMAランキング通信』によれば5月連休中「ほとんどが公開の延期を決定」「4月中の大規模公開作品の封切予定はなくなった」。これが日本映画界の今だ。  当然、経済的体力に限りある全国に広がるミニシアターは窮地に立たされている。行政からの、コロナ禍における営業休止を求める「要請」は(昨年実績で)約1300本の公開作品のうち、約1000本がミニシアターだけの上映という日本独自の文化的特質をもコナゴナにしそうな気配なのだ。  そんな危機感の中、「小規模映画館を救え!」と、さまざまな人たちが立ち上がった。 「ミニシアター・エイド基金」は、映画監督の深田晃司、濱口竜介両氏が発起人となり、有志たちで立ち上げたプロジェクト。ミニシアターの運営継続を支援するためのクラウドファンディングだ。  驚くのは、目標金額を1億円と設定しプロジェクトをスタートさせたのは4月13日なのだが、3日後の4月16日には目標を超えた。記録的な速さでの到達らしいが、それだけ、たくさんの映画ファン、映画関係者たちがこの現状に不安と危機感を抱いていたということだろう。支援はクラウドファンディング・サイト「MOTION GALLERY」を通じて行なわれている。  このプロジェクトには4月24日時点で全国の111劇場と95団体が参加。さらに27日夕刻までに約1億9700万円以上もの資金が集まっている。基金計画は5月14日まで続く予定である。  同プロジェクトと連携するのが、4月6日に発足した「ミニシアターを救え!」という、署名を軸とする動きだ。呼びかけ人には俳優の安藤サクラ、柄本明両氏ほか、映画監督では是枝裕和、森達也両氏ほかが名を連ね、賛同者リストにはたくさんの業界関係者・団体の名前も見える。  プロジェクトのTwitterには「第一弾『ミニシアターを救え!』署名活動、国への政策提言、#ミニシアターエイドと連携し劇場への支援を行っていきます」とあり、4月15日には6万7000筆弱の署名を携え、四つの省庁へ要望書を提出している。  この素早い行動! 映画の灯を消さぬために、みんな必死なのだ。 【「仮設の映画館」】 「映画館で観ていただくためにこそ、映画を作っている」と明確なメッセージを寄せてくれたのが、想田和弘監督である。 「ミニシアターを救え!」プロジェクトの呼びかけ人の一人でもある想田監督は、待望の『精神0』(46ページ参照)の公開を目前にしたこの時に、コロナ禍によりすべてがストップした。  そこで考えたのが、実際の映画館も映画をも存続させるための、インターネット上の期間限定「仮設の映画館」なる企画だった。 「映画館が廃業の危機に立たされる中、リアル映画館で劇場公開する際に発生したであろうお金の流れを確保し、映画のエコシステムを持続させることを主な目的として、企画されました。いわば劇場を存続させるための配信」だ。  企画に賛同する「リアル映画館」の1館と観客とをネット上でつなぎ、観客は1800円の鑑賞料金を支払う(クレジット決済)。  この方式はNetflixなどの配信サービスとは異なると想田監督は言う。 「コロナ禍が終わった際に、みんなで劇場に戻り、わいわいガヤガヤ、互いにひしめき合って映画を観たいがために行なう、苦肉の策です」……「場」と「人」とのつながりを忘れない愛ある一言だ。  過酷な時こそ新しい光が生まれる。映画人の情熱に期待する。  同じく窮地にある各地のライブハウスを救おうというプロジェクトも立ち上がった。一つが「SaveOurSpace」。国や地方公共団体へ継続的な助成を求める署名運動。さらにロック・バンドのtoe(トー)が呼びかける「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」もスタート。想田監督らの「仮設の映画館」と同じようなスタイルだ。 (藤田正・音楽プロデューサ、2020年5月1日・5月8日合併号)