“未来都市”着工…豊田章男社長に単独インタビュー
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富士山のふもと静岡県裾野市で23日、トヨタ自動車が手掛ける未来都市『ウーブン・シティ』の建設が始まりました。 なぜ自動車メーカーのトヨタが街を作るのでしょうか。 未来都市建設の記念すべき第一歩となった地鎮祭の直後、豊田章男社長が単独インタビューに応えてくれました。 豊田章男社長:「背景が日本を代表する山、富士山。高い山のトップを極めるためには、登り続けること。『フェーズ1』は、工場が建ってなかった、この敷地に始めます。その後、工場が壊されていくでしょうから、ここでも4~5年後に街はできるでしょうし、そこから先さらにその後。“完成をしちゃダメ”と。スタートがずっと続くような街にしたい」 『ウーブン・シティ』では、自動車や住宅、家電、ロボットなど、ありとあらゆるものがインターネットでつながり、地下には自動化された物流ネットワークが張り巡らされます。 ウーブンとは「織り込まれた」という意味で、街中には『自動運転専用道路』『人と小さい乗り物の道』そして『歩行者だけの道』と3種類の道路が編み込まれるように交差します。 ところが、計画の発表から1年以上経っても、その詳細はほとんど明らかにされていません。 豊田章男社長:「(Q.発表から1年ちょっと、水面下でどんな動きが?)水面下というか、粛々とほぼ計画通り進んだ。誰もが期待していなかったコロナ禍になった。オンラインや移動を少なくというのは、もともと考えていた。コロナの環境変化で“考え方にアクセルを踏んだ”感じ」 この1年、豊田社長の意思を伝えるミーティングを2週間に1度の頻度で繰り返してきたといいます。 実際、どんな街になるのでしょうか。 豊田章男社長:「『車会社が車だけ未来にしても、未来には到達しない』が出発点。農業ゾーンというのがありますが、一生懸命作られた作物はここで全部使い切る。ごみを少なくすることも大きなテーマの一つ」 街のイメージ映像にあった空飛ぶ車のような乗り物は実現するのか聞くと「もちろん視野に入れていく」と断言しました。 将来的には、トヨタの従業員を含む2000人以上が暮らす街を目指すということです。まずは高齢者、子育て世代の家族、そして発明家を中心に360人ほどが生活を始めます。 豊田章男社長:「家族持ち、高齢者は今後、それぞれの国が成熟してきた時に、必ず社会問題はそこに課題が出てくる。生活の課題が現場にあるところに発明家、サイエンティスト、起業家、そういう人を入れ込むことで、イノベーション(技術革新)を起こしたい。私有地だからこそ、誤解なきよう言わせて頂ければ、“民主主義ではない”。一つの意志を持っていきますから。公共の場所で税金を使ってやると、多くの方の意見を聞かなければいけない。均一性も大切だけど、イノベーションには多様性も必要」 『ウーブン・シティ』が成功することによって、どんな未来がもたらされるのでしょうか。 豊田章男社長:「一言で言えば、幸せを量産できる。“幸せを量産できるような街”に、ウーブン・シティがなってくれれば、こんなありがたいことはない。誰が見ても、この街の背景には富士山が見える。『日本にこんな未来があるんだ』というメッセージになると思う」
テレビ朝日