ビヨンセやオードリー・ヘプバーンが着想源! Netflixの話題作『ブリジャートン家』のヘアメイク事情
ヘアの話に触れずにNetflixの大ヒット作『ブリジャートン家』を語るわけにはいかない。 ションダ・ライムズ製作の同番組は、あらゆるものを包括的に扱ったロマンスやエロチックなセックスシーン、リージェンシー(摂政)時代には避けられなかったドラマや上流社会のゴシップなど、一気見したくなるだけの要素がすべて詰まっている一方で、愉快なほどに毛量豊かなウィッグと豪華なコスチュームが相まって究極のファッションを作り上げている点も見逃せない。 【写真】Netflix『ブリジャートン家』のキャスト&キャラクターたちを総まとめ! 番組のチーフヘア&メイクアップデザイナー、マーク・ピルチャーはもちろんイングランドのリージェンシー時代の正式な肖像画や歴史描写からインスピレーションを得たのている。 それらに加えて、50年代の映画や古きよき時代のハリウッドスターや現代のポップスターといった近代からも影響を受けて、伝統的ではない時代劇ロマンスの世界を作り上げた。 以下に、その中でも特に際立つシャーロット王妃のすばらしいアフロやマリーナの自然なカール、そしてもちろん、論議を呼んだダフネ・ブリジャートンのマイクロバングスについて、ピルチャーが裏話を説明してくれた。
シャーロット王妃の大きくて派手なウィッグは、彼女がアフリカ系であることに敬意を評したもの
「撮影を始めるにあたって、僕は制作総指揮者のクリスと話をした」と『ハーパーズ バザー』に語るピルチャー。 「『彼女(王妃)は人生にもう何も望みがない。夫は心神喪失状態で、彼に早く死んでほしいと思っている。美しいドレスを着てパーティや舞踏会に行くことしかやることがない、基本的にはそういう人だ』と彼は言った。 それで僕が『じゃあ、彼女が舞踏会に行くたびにドレスに合わせて違うウィッグをかぶせたらどう?』と提案した。それに僕は、彼女がアフリカ系だということも見せたかった。当時の肖像画を見ると、ああいうルックスをしたアフリカ系の女性の肖像画はほとんどなかったからね」 「当時の特徴的なルックがあって、ゲインズバラ・ルックと呼ばれているのだけれど、キーラ・ナイトレイが主演した『ある公爵夫人の生涯』のウィッグととてもよく似た幅の広いタイプのウィッグだ。彼女はこのゲインズバラ・ルックのウィッグを映画でつけていた。 で、いろいろと写真を見て行くうちに、僕は『あの形をやることに決めたけど、『オースティン・パワーズ』のビヨンセをベースにする』と。『彼女に今まで観たことのないような巨大なアフロをかぶせる』と言ったんだ」 「外側を素敵なブロンズ風ゴールドにしたアフロを作った。あのウィッグは5個分のウィッグを縫い合わせたもの。アフロ4個ともう一つ購入してね。カールは全て一つのウィッグをベースにしていて、あとの4個は毛をストレートにしてからケバブの棒に巻きつけて今までで一番大きくて素晴らしいアフロにセットになった。 彼女が最初に現場に来た時、僕は『やり過ぎたかな?』と言ったのを憶えているよ。プロデューサーたちが『そんなことはない』と言うのを待っていたけどね。もちろん、彼女が出て行った後でみんな『オー・マイ・ゴッド、すばらしい』と絶賛したよ」 「もちろん、巻き毛や小さな飾りをつけたルックをたくさんやってみた。その時代に流行った形を見せるのにパーフェクトだからだけど、彼女という人物を讃えるものでもあった。それが僕のやりたかったことで、みんなに見せたかった」