Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

村上春樹「人を求め、人に求められることの大事さ」20代の“孤独”から学んだこと

配信

TOKYO FM+

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの緊急特別番組「村上RADIO ステイホームスペシャル ~明るいあしたを迎えるための音楽」が、5月22日(金)に放送されました。 「村上RADIO」シリーズの「緊急特別版」となる本番組は、「新型コロナウイルスをめぐる厳しい状況やつらい気持ちを、音楽の力で少しでも吹き飛ばせたら……」という村上さんの思いに応えて立ち上がった企画。約2時間にわたり、村上さんが選曲した楽曲やリスナーから寄せられたメッセージを紹介しました。本記事では、番組リスナーから寄せられた「いま、村上春樹さんと語りたいこと」「村上春樹さんと考えたいこと」に関するメッセージを紹介します。

<リスナーからのメッセージ>50代・女性 ジョギング中、マスクはいらないと思うのですが、春樹さんはどうされていますか? つけて走るとかなり苦しいですよね? <村上さんのコメント> 僕は毎日だいたい欠かさずに走っていますけど、僕の家は神奈川県のけっこう辺鄙なところにあるので、走っていて誰かとすれ違うってことがあまりないんです。東京都心とは違いますから。だから走るときには、基本的にマスクはしません。マスクをして走ると、けっこう息苦しいですよね。中国ではマスクをして運動したせいで、何人か亡くなったという話も聞きました。いずれにせよ、早くマスクなんかなしに気持ちよく走れる環境になるといいですね。プールにも行きたいですしね。 <リスナーからのメッセージ>20代・女性 一人暮らしをしている学生です。実家には祖母がいるため、帰省を我慢しています……ずっと家に1人でいると、とても孤独を感じます。村上さんは強い孤独を感じたときに何をしますか? <村上さんのコメント> 僕は1人っ子だし、1人でいることは、もともとあまり苦痛じゃないんです。人に会わなくても、人と話さなくても、あまり淋しいとは思いません。1人で本を読んだり、音楽を聴いたり、文章を書いたりしているのは好きですし。でも若いときに一度、20歳の頃ですが、孤独の「どつぼ」みたいなところにはまっちゃったことがありまして、これはかなりつらかったです。本物の孤独というのはこれほど厳しいことなんだと、そのとき初めて実感しました。うーん、でもそういう時期を経験したおかげで、多くの大切なことが学べました。それは、「人は1人じゃ生きていけないんだ」ということです。人を求め、人に求められることの大事さです。あなたもきっと今は、そういうことを学ぶべき時期にいるのだと思います。今は我慢して、学ばれるといいと思います。ときには、ひとりぼっちになることも大事です。淋しいでしょうけど、がんばってください。トンネルには必ず出口があります。 <リスナーからのメッセージ>30代 学生の頃、就職活動で東京に出て、村上さんの小説を電車で読んでいたら隣の女性も同じ小説を読んでいて、今結婚することができました。どこかでお礼を言いたくて連絡させていただきました。 <村上さんのコメント> コロナウイルスとはぜんぜん関係のない内容のメールなんだけど、ほのぼのしていていいので紹介させていただきます。何かのお役に立てたようで、僕としても嬉しいです。しかし今はソーシャル・ディスタンスみたいなものがあって、2m以内には近づきにくいから、隣の人が何を読んでいるかなんて、ちょっとわからないですよね。今ではそういう出会いは成立しにくいかもしれません。残念ながら。でも、もしそれが平和な時代であって、電車で「カメムシの育て方」という本を読んでいたら、隣の席の女性もやはりたまたま「カメムシの育て方」を読んでいた……みたいなことになったら、どうしようかな? やっぱり声をかけるんでしょうかね? ちょっと考えどころですね。 <リスナーからのメッセージ>40代・ハクモクレンさん 月が2つある世界に迷い込んでしまったような気分で日々を過ごしています。いまこの世界で起きていることを私たちはどんなふうにとらえればいいのか? 春樹さんならなんて言うだろう、春樹さんの言葉が聞きたいなって、ずっと思っていました。漠然と感じていらっしゃることでも構いません。シェアしていただけるととても嬉しいです。あと春樹さんのくだらない冗談がものすごく聞きたいです。 <村上さんのコメント> はい、くだらない冗談ねえ……つい言っちゃうんです。イメージが悪くなるからよしたほうがいいって、よく言われるんですが、思いつくとつい口に出しちゃいます。うちでも奥さんに、「あなたには関西人の血が流れているから」っていつも言われています。関西人だからみんな吉本系、というわけでもないと思うんだけどね。でもこういう時代だからこそ、笑う機会がなくなっちゃうと淋しいですよね。そうですね、空に月が2つあってもおかしくないような気がします。お互い、がんばって、そんな時代を生き抜いていきましょう。羊谷さんもがんばりましょうね。 (TOKYO FM「村上RADIO ステイホームスペシャル ~明るいあしたを迎えるための音楽」5月22日(金)放送より)

【関連記事】