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児童虐待防止の最前線をつなぐクラウド――京都府南丹市の取り組み

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ITmedia ビジネスオンライン

 連載第3回まではローコードツールの登場による自治体とITツールの関係性の変化や「窓口業務」「行政手続」改革を内製で高速化した事例を紹介してきた。第4回は、迅速な対応が求められる多機関連携にクラウドを取り入れる利点や導入の流れについて、京都府南丹市が取り組んでいる児童虐待防止の事例を紹介する。 【写真】虐待通告受付票

児童虐待防止でクラウドを使い始めた背景

 京都府南丹市は人口約3万人の京都府のほぼ中央にある市だ。保護を要する児童の早期発見や、適切な支援を目的とした要保護児童対策地域協議会(以下、要対協)の連携に、2019年からクラウドサービスを導入している。  要対協には守秘義務が課せられており、要対協の構成機関内における情報共有は守秘義務違反にならない。関係機関が要保護児童に関する情報や考え方を共有し、適切な連携の下で対応していくことが重要とされている。  クラウドサービス導入前、南丹市の子育て支援課は、各機関から電話で寄せられる要保護児童の緊急報告や対応の経過をとりまとめ、Wordファイルに記録して子育て支援課のサーバ領域に保存。これを月末に印刷し、会議資料として関係機関と共有していた。  また、月に一度、公立の保育所や幼稚園から要保護児童の出欠状況やその理由を庁内ネットワークで収集し、ネットワークにつながっていない小中学校からは報告書を紙で市役所に提出してもらい会議資料にまとめていた。  紙でのファイリングは検索性も悪く、電話は解釈の違いも起こる。紙でもらい転記するよりデータで集約するほうが早い。要対協の調整機関を務める南丹市の子育て支援課は、連携可能なデータベースシステムの必要性を感じつつも、コスト面が障壁となって前向きな検討ができずにいた。

教育委員会と子育て支援課が共に検討しスタート

 しかし、18年に状況は変わる。東京都目黒区でおきた船戸結愛ちゃんの虐待死事件を受け、民間から政策提言が盛んにされるようになるなか、虐待防止の連携にノンプログラミングでデータベースを作ることができるクラウドサービスを5年間無償とする特別プランがIT企業から発表された。  この特別プランを知ったある一人の教育委員会職員が子育て支援課職員に知らせ、メーカーの説明をともに聞き導入を検討。子育て支援課中心に、対象児童リストと経過記録簿、欠席状況の定期報告を連動させた業務システムを作成した。ライセンス代だけでなくシステム構築代もかからず多機関と連携できる仕組みを整えることができた。  最初は7人の児童に関し市役所内の教育、保健、福祉の関係課と公立の保育所、小・中学校と5カ月間の試用を始め、効果を実感してからシステム連携機関を市内の全公立の幼稚園、保育所、小・中学校と市役所内関係課に拡充し本運用に至った。

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