「発達障害」の子に重要な「意外なスキル」とは?
発達障害のとらえ方がいま、変わりつつあります。ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD(学習障害)などの診断にそって、障害別の対応をすることが一般的ですが、最近はより総合的で詳細な理解・対応が重要になってきています。なぜなら、発達障害はしばしば重複するものだからです。 【マンガ】「しすぎたらバカになるぞ…」母の再婚相手から性的虐待を受けた女性が絶句 発達障害の子には、診断された障害の特性だけでなく、ほかの障害の特性がみられる場合があります。症状は一見少ないけれど複数の発達障害の特性が少しずつあるような子どもたちも、発達障害として、適切な支援を受けるようになってきました。 この記事では、全6回にわたり、子どもの特性を知り、その子に合ったサポートをするためのヒントを探っていきます。今回は、家庭生活で親が心がけたい基本的なことについてお伝えします。 『発達障害がよくわかる本』第5回
親が子どもの育ち方に合わせる
発達の特性がある子は、ほかの大多数の子どもとは違う育ち方をします。そのため、親は育てにくいと感じることがあります。どのように対応すればよいのでしょうか。 ◆子育てがうまくいかないと感じたら… 育児書で読んだことや、人から聞いたことなどを参考にして、一般的な育児をしているが、うまくいかないことが多い ☆子どもを親に合わせる? 一般論を信じて、そのまま子育てを続ける。うまくいくまで、根気よく子どもに言い聞かせようとする。結果として、子どもが親に合わせるようになる ☆親が子どもに合わせる? 一般論は一度忘れて、「この子の場合はどうすればうまくいくか」と考える。そして子どもの育ち方に親が合わせて、子育ての仕方を見直していく 親は通常、育児の一般論やきょうだいの育ち方、ほかの子の様子などを参考にして「子どもはこう育つだろう」と見通しを立てて、子育てをしていきます。 しかし、発達の特性がある子は育ち方が独特なので、そのような一般的な見通しにそって発達していきません。そのため親は混乱しますが、そこである種の発想の転換をすると、家庭生活が安定します。その子の育ち方に合わせて、親が見通しを変え、「親が子どもに合わせる」のです。 ただ、「親が子どもに合わせる」と言葉にするのは簡単ですが、実践するのはそう簡単ではありません。常識を離れ、考え方を柔軟に変えていくための親の苦労や心理的なストレスは、相当なものです。 児童精神科医の清水康夫先生は、発達の特性がある子の療育を「二八の療育」と言いました。子どもを二、親を八の割合で支えるくらいに、親支援を大事にしなければならないという意味です。 医師などの専門家は、親支援を重視しています。親は専門家との相談の際、自分の悩みやつらさも伝えるようにしてください。