「災間」にできることを 防災意識高める、和歌山県田辺市高雄中学校
和歌山県田辺市の高雄中学校3年生(114人)は、地域住民の避難先になっている学校をより安心して過ごしてもらえる場所にするため「災間プロジェクト」と名付け、総合の授業で防災活動に取り組んでいる。2学期中は校内だけでなく地域の公民館などにも足を運び、避難所運営の方法を学んだり、沿岸部周辺の高台調査をしたりして防災に対する知識を深めた。今後は地域の防災訓練にも参加したいという。 【「災間」意識し行動を 東日本大震災の被災者が和歌山県田辺市で講演の記事はこちら】 高雄中では年3回、地震や火災の避難訓練をしている。週1回ほどの総合の授業で、生徒が主体になって防災学習をするのは今回が初めて。夏休み前に生徒ごとに取り組みたい内容を提出し、夏休みの登校日には、東日本大震災の被災者の講演を聴いた。 2学期に入ってから班分けと学びたい内容を決め、10、11月中の授業で調べ学習に取り組んだ。10班に分かれて活動し、校内の危険な箇所を調べる班では、掃除道具入れや固定されていない棚などに専用の器具を取り付け、地震が起きても倒れないように対策した。 市の防災まちづくり課の職員と連携し、浸水域になっている学校のグラウンドに設置された備蓄倉庫の中身を移動させた班もあった。運ぶ順番やルートの計画を立て、台車や手持ちで校舎2階の空き教室に運び込んだ。運び終えた後、備蓄品の中身や使い方も確認した。 他にも、沿岸部から避難できる高台へ中学生が徒歩でかかる時間を計測したり、段ボールベッドの組み立てや非常食の調理を体験したりした。災害避難ゲームや防災クイズの問題作り、震災発生時に商業施設が取った行動を調べるなど、各班がさまざまな内容で取り組んだ。 取り組んだ内容は班ごとでスライドを作成し、22日にあった同校の文化発表会で保護者や地域の人に発表した。 備蓄品を移動させた班のリーダーを務めた、山下大和さんは「運び出すのは大変だったけど、積極的に協力して、スムーズに移動させることができた。携帯用トイレの凝固剤はどのくらいの水量を固めることができるのか実験したり、箱に入っていた簡易のテントを広げてみたりと、備蓄品の使い方も勉強になり、防災意識も変わった」と話した。
紀伊民報