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「学校は手段」ひきこもりと共に30年、富山の寮「はぐれ」は焦らない 自立のペースは人それぞれ

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富山市内の田園地帯に、不登校やひきこもり、ニートを経験した若者たちが寝食をともにしながら自立を目指す寮がある。寮生は農作業に汗を流しながら生活リズムを整え、通学やバイト、就職へと進んでいく。不登校やひきこもり、ニートとひとくくりにされる人たちも、一人一人が抱える事情や歩んできた道のりは違う。昨年の夏まで半年余りにわたって寮に通い、その感を強くした。寮での暮らしぶり、寮生やスタッフの言葉には、当事者との関わり方や支援の環境を考える際のヒントがあふれていた。そんな取材の記録を振り返る。(朝日新聞富山総局・竹田和博) 【マンガ】 「それだけは言ってほしくなかった」不登校だった母の内面 もしオンライン学習が整っていたら

なったもんは仕方ない

富山市中心部から20分ほど車を走らせた田園地帯に、年季の入った2階建ての一軒家がある。NPO法人「北陸青少年自立援助センター」が運営する共同生活寮「ピースフルハウスはぐれ雲」、通称「はぐれ」だ。 代表の川又直さん(66)と妻の佳子さん(63)、次男の正行さん(34)、イチローとハナと名付けられた2匹のシバイヌ、そして寮生が一つ屋根の下で暮らしている。 寮生は昨年6月の取材当時、14~45歳の男女17人。10~20代の13人と一部の年長者は2階の10人部屋などで寝起きし、ほかの年長者はNPO法人が運営する近くのグループホームで生活する。 「親元を離れれば、8割方立ち直ったようなもん。(不登校やひきこもりに)なったもんは仕方ない。じゃあどうするか。そこが大事」。川又さんの考えは明快だ。 多くの寮生ははぐれに来る前、昼夜逆転の生活を送っていた。まずは規則正しい生活を続けて生活リズムを整えるところから。そして、共同生活の最低限のルールを守る。 自分のことは自分でする。ほぼプライベートのない空間で、他の寮生が動く姿を見れば「自分も…」とスイッチが入る。寮生同士のもまれ合いが成長を促すと川又さんは考える。

寮生2人からスタート

はぐれは、県外から移住してきた川又さん夫妻が1988年に始めた。 当初2人だった寮生は、あっという間に増え、多いときには20人余りに。寮は2回建て増した。今でこそ20代が増えて「静かになった」と佳子さん。かつては非行の中高生も多く、万引きや脱走が絶えず「精神的にも大変だった」と振り返る。 そんな時代を過ごした若者たちが親になり、子どもを連れてはぐれを訪れることもある。そんな時、川又さんたちはこの仕事のやりがいを感じるという。 はぐれの1日は、午前6時半の散歩から始まる。遅れたら「ツケ」と呼ばれるペナルティーが課され、朝食の準備か夕食の後片付けをしないといけない。 朝食と掃除を終えると、寮生たちは農作業や学校、アルバイトに向かう。昼食は正午、夕食は午後6時。夕食後、はぐれの「法律」とも言えるジャンケンで掃除や炊事の当番を決める。その後は居間で一緒にテレビを見たり、自室でのんびりしたりと思い思いに過ごす。

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