BNPL がホリデー商戦を制する。消費者の心を掴むマーケティングツールとしての活用
BNPLの利用拡大と消費者意識の変化
このような融資プランは、サイバーウィークでの消費者支出を後押しすると見られている。11月25日に発表されたデロイトの調査によると、今年のホリデーシーズンにBNPLツールを利用する予定であると答えた消費者は29%に達し、昨年の24%から増加した。一方、クレジットカードの利用も依然として主要な選択肢であり、今年は53%の消費者がサイバーウィークでクレジットカードを使用すると答えた(前年は35%)。 デロイトのリサーチリーダーであるルパイン・スケリー氏は、「買い物客は、お買い得だと感じると、そのお買い得品を手に入れるために、借金をして、予算以上の出費をすることを厭わない」と語った。「1年後もその負債を抱えているかどうかは、興味深いところだ」。 ただし、BNPLはクレジットカードと同様、消費者が支出を抑制できなくなるリスクもはらんでいる。支払いスケジュールや金利が固定されているとはいえ、多数のローンを組んだり、キャッシュフローに問題が生じた場合には負担が増える可能性がある。 しかし、BNPL事業会社は、各取引が購入時に承認され、支払いを滞納した場合には追加の利用が制限される仕組みを強調している。BNPL業者を代表する団体であるファイナンシャル・テクノロジー・アソシエーション(Financial Technology Association)は、従来のクレジットカードの延滞率が約9%であるのに比べ、会員の延滞率は約2%と低いと指摘している。 アファームのスー氏は、BNPLはホリデーシーズンにおいて、複利リスクのない予算管理ツールとして活用できると説明している。「消費者に過剰な信用供与をしないことは、我々の使命の中核をなすものでもある。この特別な取引は、支払い総額と期間が明確であるため、安心して利用できる」と述べた。
購入後分割払いの未来
同様に、BNPLプラットフォームであるジップ(Zip)のCMO兼ショッピング部門ゼネラルマネジャーであるジナル・シャー氏は、BNPLを「キャッシュフロー管理ツール」として利用できると述べた。これは、人々が普段より多くの買い物にふけるホリデーショッピング・シーズンにおいて特に有用だという。昨年、ジップを利用したブラックフライデーの購入額は、2022年と比較して26%増加した。「消費者心理が全体的に好調であれば、小売業者やパートナー企業、我々のような決済オプション事業者は全体で利用が増加するだろう」とシャー氏は述べている。 シャー氏によると、ジップを採用する企業は、ウェブサイトや店舗内のサイネージで積極的にプロモーションを展開している。また、休眠顧客をターゲットにしたメールマーケティングやリターゲティングにも力を入れている。「今は非常に競争の激しい時期であり、各社が同じ顧客層を取り合っている」とシャー氏は語った。「既存顧客への対応に力を入れるパートナーが多いのは当然のことだ」。