BNPL がホリデー商戦を制する。消費者の心を掴むマーケティングツールとしての活用
記事のポイント 2024年ホリデーシーズンでのBNPL利用額は前年比11.4%増の185億ドルと予測され、競争が激化するホリデー市場でブランドの戦略の重要な一環となっている。 0%金利や期間限定割引といったプロモーションが、消費者の購買意欲を刺激しつつブランドに利益をもたらす手段として注目されている。 小売業者は、メールマーケティングやリピート購入促進プランを活用し、独自の方法で消費者との関係構築に取り組んでいる。 ブランドが競争の激しいホリデーショッピング・シーズンで優位性を保つために、BNPL(Buy Now, Pay Later/購入後分割払い)プランの推進は、もっとも注目されるマーケティング戦略のひとつとなっている。 Adobeのホリデー予測によると、今年のホリデーシーズンにおけるBNPLの利用額は約185億ドル(約2兆7766億円)に達し、前年から11.4%増加すると予測されている。このトレンドに対応し、多くのブランドとフィンテック企業は、新たなBNPLパートナーを導入し、自社のウェブサイトやアプリ、店舗内で積極的に融資プランを宣伝している。 たとえば、JDスポーツ(JD Sports)とフィニッシュライン(Finish Line)は11月26日、アファーム(Affirm)のBNPLサービスを店舗向けに導入することを発表した。これは同社のデジタル部門シニアバイスプレジデントのヘンリー・スピア氏が、「ホリデーショッピング・シーズンのスーパーボウル」と称する時期に合わせた取り組みである。また、アファームのアプリ上では、アディダスの125ドル(約18700円)の購入で、50ドル引きや、宝飾ブランドブリリアントアース(Brilliant Earth)での1000ドル(約15万円)の購入で200ドル引きといった期間限定の特典を提供している。
BNPLは単なる支払いを超えたマーケティングツール
「BNPLは、単なる支払い手段ではなく、プロモーションやマーケティングのツールとして活用されている」とアファームの収益担当シニアバイスプレジデントであるパット・スー氏は述べている。「ホリデーシーズン中は割引が乱立し、消費者にとっては情報過多になる。そのなかでBNPLは、小売業者に差別化をもたらす重要な要素だ」。 今年、多くの小売業者は0%金利の融資プランを推進しており、アファームのCEOであるマックス・レヴチン氏も11月初旬の決算報告でこの傾向を強調している。また、従来の「4回払い」スタイルに加え、6カ月や1年の長期融資オプションも注目を集めている。スー氏は、0%金利プランは単なる割引よりも「お得感」を消費者に与え、小売業者が利益を削られることなく売上を上げることを可能にしていると指摘している。 「プロモーションを積み重ねるようなものだが、消費者にとっては非常に魅力的に映る」とスー氏は述べた。「例えば、ある小売業者が10%割引を提供し、別の業者が10%割引に加えて0%金利を提供している場合、後者に対する好感度が高まる」。