Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

モデル兼『LoL』プレイヤー大友美有に訊く「これからのゲームタレント、これからのeスポーツ」。芸能事務所も交えて禁断の三者面談

配信

  • この記事についてツイート
  • この記事についてシェア
ファミ通.com

文・取材:OGA(Shota Ogawa)  禁断のインタビューが実現した。大げさな物言いで恐縮だが、それくらいの感触があった。 【この記事の画像をもっと見る】  大友美有さんという女子高生『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、LoL)プレイヤーがいる。N高等学校生の彼女は、2019年全国高校eスポーツ選手権『LoL』部門の優勝メンバー。その実力が認められ、2020年7月より古豪プロゲーミングチーム“Rascal Jester”に練習生として所属することになった。  さらに、2019年女子高生ミスコンのファイナリストでもあり、現在は芸能事務所のスターダストプロモーションのゲーム事業部に所属。モデルとしても活動している。 『LoL』最強JKはミスコンファイナリスト。行動力の化身はゲームのためにN高を選んだ https://www.famitsu.com/news/202001/28191441.html  プロゲーマー(厳密には見習い)×モデルということで話題となり、メディアからの取材が殺到している大友美有選手。そんな彼女を取材するにあたって、他メディアでは絶対に聞き出せない話を掘り出したいと考え、ダメもとで担当マネージャーにも同席インタビューを依頼! すると、まさかの快諾!  筆者が訊きたいのは以下のようなことだ。 “モデル×eスポーツ”は批判の対象にならないのか? 芸能関係者の目に、いまのeスポーツ業界はどう映っているのか? ネットの誹謗中傷とどう向き合うべきなのか?  忖度も遠慮も一切なく“これからの大友美有”や“これからの芸能事務所”について真剣に話し合ってみたい。彼女は高校生。将来について話し合う、一種の三者面談である。 スターダストの新たな試みは、ガチゲーマーのタレント起用 ――本日はよろしくお願いします。貴社には以前からゲーム事業部はありましたが、今回、前例がないほどのガチeスポーツプレイヤーをタレントとして迎え入れた印象です。どのようなきっかけがあったのでしょうか? スターダスト もともとゲーム事業部は、プレイヤー人口の割合でいうと男性が多い“ゲーム”という分野で、女性プレイヤーがもっと輝ける場を作り上げたいという思いからスタートしています。  これまでのゲーム事業部では、もともと所属しているゲーム好きなタレントたちにゲームを真剣にやってもらう取り組みを何度か試みてきました。ですが、幼少期からずっと熱心にゲームに取り組んできた子たちと比較すると、やはりまったく別の才能であると感じるようになりました。  そんな中、eスポーツプレイヤーとしての実力があり、芸能活動も視野に入れている大友という逸材と出会うことができました。 ――40年以上、エンタメの発展に寄与されてこられた貴社が、eスポーツに本格的に参入された印象があり、とても心強く感じます。ところで、芸能界などのエンタメ業界の方々からは、現状のeスポーツ業界はどのように映っているのでしょうか? スターダスト これからもまだまだ伸びていく業界だと考えています。社内ではeスポーツについては以前から注目をしていました。ひとつの転機は『LoL』の世界大会“World Championship 2018”のオープニングセレモニーを観たときです。アーティストがゲームのキャラクターといっしょに踊っている映像に衝撃を受けて「将来、日本でもこういうことできたらいいよね!」という話をするようになりました。 ――お洒落なK-POP系のライブに、VRキャラクターを合わせているパフォーマンスですね。 スターダスト そうです、そうです! 芸能事務所としても、もっとeスポーツの認知度を上げて、業界を盛り上げる一端を担いたいと考えています。 攻撃的なキャラを使い始めて、意識が変わってきた ――大友さんは別のインタビューで「eスポーツのことがわからなくても私をキッカケにゲームと触れ合ってくれたらうれしい」とも話していましたけど、具体的にどういう活動をやっていきたいと考えていますか? 大友 モデルの活動を通して、ゲームを知らない人たちにも、ゲームに興味を持ってもらいたいです。少し前までは自分が影響を与える存在になるなんて想像もしていなかったんです。でも、今年の“STAGE:0(ステージゼロ)※”では女子がいるチームが3つに増えていて、もしかしたら知らず知らずのうちに「影響を及ぼしてるのかも」と考えるようになりました。 ※STAGE:0(ステージゼロ):テレビ東京と電通が主催する高校生eスポーツ大会。2020年の競技タイトルは『LoL』、『クラッシュ・ロワイヤル』、『フォートナイト』。9月19日~22日に決勝大会が開催される。 ――モデルの活動でも最初からeスポーツ的な要素を出していく予定ですか? 大友 最初は切り離してやっていこうと考えています。しっかりとひとりのモデルとして世間に認められるようになってから、徐々に「わたしゲームもやってるんだけど、どう?(笑)」みたいな感じで布教していきたいです。 ――けっこう戦略的(笑)。ところで、プロチームと芸能事務所に所属することになって1ヵ月ほど経ちますよね。“学業、プロ活動、芸能活動”の3足のわらじを履いているわけですが、いまの心境を教えてもらえますか? 大友 まだ慣れないですね。いまはゲームの活動にほとんどの時間を使っています。学校の課題もあったり、とにかく心の余裕がないという状況です。 ――1日の練習時間はどれくらいですか? 大友 朝起きた瞬間からずっとです。12~13試合分くらいですね。 ――『LoL』は1試合1時間くらいかかるから、半日以上はゲームの練習に費やしている、と。プロチームでの練習を通して、技術や考えかたは変わってきました? 大友 ゲームに対する考えかたはどんどん変わっています。『LoL』って、男性は自分から試合を動かせるキャラを使うことが多くて、女性はかわいいキャラや味方を守るキャラを使う傾向にあると思うんです。私も以前まではエンチャンター系(※)を使っていました。 ※エンチャンター:『LoL』におけるキャラクター分類のひとつで、味方の強化に特化しているキャラクターのこと。通常、エンチャンター自身は低いダメージしか出すことができず、ほかのキャラクターといっしょに行動することで真価を発揮する。 大友 プロチームに入ってコーチングを受けるようになってからは、自分で試合を動かすキャラを優先して使うようになりました。すると、試合中に考えることがすごく増えて。勝率は上がってきたのですが、6戦ぐらいで集中力が持たなくなってしまうんです。“勝ち”への意識は少し上がるだけでも、ゲーム中に考える量が全然違ってくると学びました。  そこからいろんな考えかたが変わってきましたね。ゲームの強さに男女差はあるのかなと一時期、考えていたこともあったのですが、それは性別によるものではなくて、勝ちに対する意識の差なんだと気付きました。 ――アグレッシブなキャラに連動して大友さんのスタンスも変わってきてるっておもしろいですね。ゲームとの向き合いかたもかなり変わったと思います。楽しくなくなったりしてないですか? 大友 いまのほうがゲーム楽しいです! ノルマもあるし、頭は疲れるけど、とても楽しい! スターダストプロモーションに訊く、モデルとeスポーツに相乗効果はあるのか? ――話の方向性を少し変えまして、貴社の今後の戦略として、モデル活動とeスポーツにはどのようなシナジーがあるとお考えなのでしょうか? スターダスト 最近のeスポーツにはカッコいいファッションなどの見た目も重要視されてきました。モデル活動を通して、eスポーツをファッショナブルなものとして広めていき、ゲームと他業界の垣根を低くすることができるのではないかと考えています。 ――たしかに、最近はeスポーツとアパレルのコラボも増えてきました。 スターダスト もしゲーム業界にハードルの高さや閉鎖的な雰囲気があるのであれば、それを打開できるような存在になってくれるように大友をサポートしていくつもりです。 ――少し意地悪な質問をさせてください。女性タレントをゲームと組み合わせて売り出す方法はあまりうまくいっている印象がありません。むしろ批判の対象にもなりやすい気がしますが、いかがでしょうか? スターダスト ゲームに限らず、どのジャンルにもそういった側面はありますね。何かきっかけがほしいアイドルが、スポーツや趣味コンテンツとコラボすることはよくあります。その場合、双方のファンの方からはいろいろな意見があると思います。  ただ、その場合でも実力が伴っていれば話は別なのかなと考えています。ゲームが本当に好きなのか、ただ単に仕事としてやっているのか、ファンの方はすぐに見抜きます。大友のように、ゲームの実績があり、努力もしている本当の実力者であれば、ファンの方々も認めてくれると信じています。それに、彼女が本気のゲーマーであることが、タレントとしての人気にもつながるのではないかと思います。 ――実際、12時間ゲームしているので、大友さんがガチのゲーマーであることは事実ですね。 スターダスト 大友は、ゲーム事業部のタレントの中でも、かなり異例の立ち位置ですね。ゲームに対する取り組みかたに関しては一切の心配をしておりません。 両親もガチ勢だった。継承されたゲーマーの遺伝子 ――そういえば、ご両親もゲーム好きだったという話をお聞きしました。詳しく教えてもらえますか? 大友 お母さんとお父さんがやっていたのは対人系のゲームじゃないのですが。えーと、『ラグナロクオンライン』……? ――『ラグナロクオンライン』!? まさかMMORPGとは。かなりガッツリなゲームですね(笑)。 大友 お父さんもお母さんもスゴく強かったらしくて。お母さんはゲーム内で姫扱いされてて、お父さんは無課金(※)を貫いて地道にニンジンを売って強くなったって言ってました。コレやってる人にしかわからない話ですよね。 ※無課金:『ラグナロクオンライン』は月額+アイテム課金のハイブリッド方式。ご尊父は月額課金のみでプレイし、課金アイテムは購入しなかったのだと思われる。 ――たしかにニンジン売りは誰しも通る道ですけど(笑)。それだけゲーム好きだと、ゲームに対する理解はありそうですけど、実際はどうなんでしょう。親御さんはゲームの活動に本腰を入れるのには反対だったという話ですよね。 大友 ゲームは趣味だとしか思われていなかったので、ちょっと揉めました。両親もゲームをやってはいましたが、やっていたからこそネットの怖さを知っていたんだと思います。中学1年生の頃にスマホゲームにハマった時期があったのですが、そのときもケータイを解約される勢いですごい止められました。 ――なるほど。オンラインゲームが好きだからこそ、ネットのトラブルを恐れていたわけですね。その気持ちもよくわかります。 誹謗中傷はなぜ発生してしまうのか ――プロゲーマーとして、モデルとして、どういう存在になっていきたいと考えていますか? 大友 最近、ゲームの業界で誹謗中傷が発生してしまうのは、仕方がないことなんじゃないかと思い始めてるんです。正直、私もプロチームの練習生になる前は、「勝てたらいいや」くらいの気持ちで試合に臨むことがありました。勝ちへの意識の低さは、自分だけでは気づくことは難しい。でも、その意識の低さは、真剣にやっている人たちにとっては、何となくだけど感じ取れてしまうことなんです。 ――批判には、それが起こるだけの原因があると? 大友 はい。私自身、女性プレイヤーであることで誹謗中傷を受けてきて、批判が怖い気持ちもたしかにありました。ただ、それは女性であることではなく、ゲームに対する意識の低さを視聴者の方々に見抜かれていたのだと、自分の中で考えるようになりました。本気でやっていない人が注目されていたら、見ている側は気分が悪いだろうなと思います。 ――真剣に考えててすごい。スターダストさんにお聞きしたいのですが、大友さんほどSNS・ネットの誹謗中傷への理解があるタレントは珍しいと思いますが、これは大友さんの持ち味なのでしょうか? スターダスト 仰る通りだと思います。その辺りについては本当に手が掛からないタレントといいますか。実際、SNSの運用については大友自身に任せています。 ――とくにいまは、芸能界全体がネットの誹謗中傷に対して神経質になっている時期でもあると思います。 スターダスト そうですね。今年になって、私たちもタレントへの誹謗中傷に関してはいままで以上に目を光らせるようになっています。一方、大友はSNS上での自分へのネガティブな反応にも「いいね」したり、自分から積極的にポジティブなコミュニケーションを取りに行っています。その辺りは本当にスゴイです。 誹謗中傷から学ぶこともある。新時代の価値観をエライ人たちは理解できるか? ――誹謗中傷に限らず、ネットにおけるコミュニケーションの最適解を、まだ芸能界は見出せていないように思えます。一方、大友さんのような新たな価値観を持った世代が業界に入ってくると、誹謗中傷との向き合いかたについて、私たちメディアや芸能界側は学ぶことも多いのではないかと感じました。 スターダスト 大友は自分に寄せられる意見との向き合いかたがしっかりしています。さまざまな意見を取り込んで、自分らしく業界を盛り上げてくれる可能性も考え、バランスを取りつつサポートしていきたいと思っています。 大友 私はオンラインゲームやSNSとずっと触れ合ってきたので、誹謗中傷には比較的慣れてるほうなのかもしれません。いまは批判を乗り越えていくのが、ひとつの挑戦にもなっています。批判的なコメントは「自分がもっとがんばらないといけない」と思えるキッカケでもあります。自分に対してネガティブな反応を示す人たちに、どうやったら楽しんでもらえるか、日々考えています。 ――批判的なコメントからも学ぼうとする姿勢はほんとにすごい。批判自体は許されることではないけど、その内容をよく見ると、けっこう正しいことを書いてたりもしますよね。 大友 「的を射てる!」って感じることもありますね(笑)。自分はそういう誹謗中傷も受け入れて、もっと強くなってやろうと思ってます。最近は、大会の配信でも、しっかり活躍すると性別なんて関係なくコメントで褒められるとわかりました。結果を出せば認められるんだなと実感しています。しっかりと認められて、選手としてLJL(※)に出たいです。 ※LJ:League of Legends Japan Leagueの略。日本における『LoL』プロリーグのこと。 ――大友さんもスターダストプロモーションさんも、本日はありがとうございました。いろいろお話ししましたけど、大友さんはゲームの話しているときがいちばん楽しそうですね。 大友 ゲームの話してるときがいちばんいいです(笑)。こういうインタビューってゲームのことをあんま話しちゃいけないのかなって思っちゃうので。将来的には大会の実況・解説だったり、自分主催で大会も開きたい。『LoL』だけじゃなくて、『VALORANT』の大会にも興味があります。モデル活動の方では、ファッション誌に、CanCamに載りたい! 両立できるようにがんばります!

【関連記事】