職業病…?ホテルや家電、ケーキまで設計図に起こしてしまう一級建築士の“間取り愛” 「寸法で物の差異がよくわかる」
宿泊したホテルのスケッチを描いて公開している一級建築士のKEIさん。ほかにも洗濯機やケーキなども寸法を記した設計図風に描いており、独自の世界観をアートに落とし込んでいる。どんな物も設計図に見えてしまったりと、我々とは見えてる世界が違うのだろうか。高橋慧さんに聞いた。 【画像】見える世界が全て設計図?建築士が描く水彩画に「めちゃくちゃカッコイイ」 ■仕事のヒントのために“良いホテル”探しをスタート、メモ感覚で始まった“設計図アート” ――普段はどのようなお仕事をされていますか。 RFA(アール・エフ・エー)という設計事務所で建築の設計を行なっています。宿泊施設や保育園、コワーキングスペースなど様々な建築の設計図を作成したり、建物が建つまでの現場の監理を行ったりしています。 ――一級建築士を目指したきっかけを教えてください。 高校生の頃、当時の美術の先生がとある建築家のビデオを見せてくれました。とても鮮やかな色彩を使った建物を作る人で、住宅の中にカラフルな光で満ちたプールがある映像に衝撃を受けたことを覚えています。建築ってこんなに美しくて自由なんだ、見に行ってみたい、作ってみたい、と思ったのが建築家を目指したきっかけのひとつです。その人は「ルイス・バラガン」というメキシコの著名な建築家なのですが、その頃は全く知らずにただ憧れていただけでした。 ――ホテルの水彩画を描くようになったきっかけを教えてください。 仕事でホテルの設計を初めて担当することになったとき、自分の中に“良いホテルの空間“の引き出しがあまりないことに気づきました。経験したことのない空間を作るのは非常に難しいですから、とにかく最近良いと言われているホテルを見に行ってみよう、と思ったわけです。そこで良いなと思った素材や寸法なんかをメモしたくて、こういう絵を描くようになりました。 ――設計図のような絵を描かれていますが、描く工程を簡単に教えてください。 最初はざっくりと部屋の寸法を測り、鉛筆で軽く下書きをします。大まかな形がわかったら、ペンに持ち替えて細かい部分も測りながら描いていきます。気になった場所のスケッチなんかも一緒に描いてしまいます。大体ペン入れが完成したら一旦終わりにし、あとはホテルステイを満喫して、水彩は自宅に帰ってから着彩することが多いです。 ――設計図はモノクロのイメージもありますが、水彩画の魅力やこだわりがあれば教えてください。 水彩は手軽に着色ができるところが気に入っています。ラフさが許容されやすい画材というか、軽く描いた状態でも水の力でなんとなく良い感じに見えてくれるというか。初心者にやさしい画材だと思います。ホテルのイメージによっては水彩が合わないなと思って、iPadで色を付けたりすることもあります。 ――どれくらいの時間をかけて描かれていますか。 線画3時間、水彩2時間の計5時間程度です。ただ、部屋の中以外にもラウンジやレストランなども素敵だなと思うこともあり、お部屋の実測が終わってからも延長していろんなところを測っていることがしょっちゅうです。最近は描くこと自体も楽しくなってきちゃって、どんどん時間が伸びてしまっている気がします。せっかく素敵なホテルに泊まりに来たのに、もったいないですね(笑)。