大学消滅時代に突入か。私大の3割が定員割れ、4割が”営業赤字”
いよいよ大学受験シーズンの到来です。その皮切りとなる2021年の大学入学共通テストはもう間もなく、1月16日(土)と17日(日)に実施されます。大学入学共通テストは、昨年までは「大学入試センター試験」と称されていました。
右往左往の末に導入された大学入学共通テスト
本来なら、英語での民間試験の活用や、国語・数学での記述問題が導入される予定でしたが、それらは全て延期になっています。とりわけ、英語の民間試験導入先送りの決定には文科省の右往左往が如実に表れており、多くの受験生に混乱をもたらしたのではないでしょうか。 しかし、コロナ禍での受験となる今回は、民間試験先送りどころの騒ぎでないのはご承知の通りです。ここに来て首都圏に緊急事態宣言が再発出され、来週早々には京阪圏でも発出が見込まれており、“本当に試験は無事に行われるのだろうか?”という不安を抱えている受験生も少なくないでしょう。 それでも、受験生は目前に迫った大学入学共通テストに向けて粛々と準備をするしかありません。年明け以降、スタバやドトールなどの喫茶店でラストスパートに集中する受験生を多く目にする機会が増えましたが、必死の形相となっている人も散見されます。 こうした店舗では「密」を回避する様々な施策が取られていますが、それでも、長時間の滞在はリスクが高いと言わざるを得ません。残り1週間ですから、コロナ感染予防を含めた体調管理には細心の注意を払ってほしいと思います。 ところで、受験生が入学を目指す大学のほとんどが少子化の影響を受けています。そんな中、大学の経営状況がどうなっているのか見てみましょう。
私立大学の3分の1が定員割れ
文部科学省が発表する「私立学校の経営状況について(概要)」によれば、入学者数の減少が顕著であることが見て取れます。 入学定員に対する入学者数の割合(以下「入学定員充足率」)を見てみましょう。これが100%超となった(つまり、定員割れしていない)大学の割合は、平成8年度の96.2%に対して、昨年(令和元年度)は67.0%へと大幅に低下しています。私立大学の3分の1は定員割れしているのが現状です。 今度は、入学定員充足率のハードルを80%に下げてみます。これは、文科省が入学定員の8割入学を1つの判断基準にしているからです。“定員の8割確保できればよし”ということでしょうか。すると、平成8年度は99.3%とほぼ全校が満たしたのに対して、令和元年度は91.3%に低下しました。 これは、全体の約9%の私立大学で、入学定員に▲20%以上の欠員が生じたことを意味します。