朝ドラ『エール』&『恋あた』主演で大注目の森七菜ら次世代の若手女優が活躍、2020年人気急上昇のニューヒロインたち
平成には若者のドラマ離れもあり、大人向けの医療モノや刑事モノが主流になる中、主演級の女優は30代以上が中心という時代が続いていた。しかし近年、見逃し配信の広まりもあり、『恋は続くよどこまでも』(TBS)など恋愛モノのヒットもまた生まれるように。女優勢も先行していた広瀬すずに続き、2020年は20代前半の上白石萌音、浜辺美波、小芝風花がプライムタイムで主演。さらに若い10代女優の活躍も見られた。 【写真】「靴下屋」のオフィシャルアンバサダーに就任した堀田真由 ◆人気&知名度急上昇の10代の新星・森七菜 2020年に最も躍進した10代女優といえば、プライムタイムの連続ドラマ『この恋あたためますか』(TBS)に主演した森七菜だろう。中学時代に地元・大分でスカウトされ、所属した事務所は大手ではないが、早くからオーディションに相次ぎ合格。2016年よりCM、映画、ドラマと、大分から東京に通いながら出演してきた。2019年公開の劇場アニメ『天気の子』では、祈るだけで晴天にできるヒロインの声を担当して注目される。2000人のオーディションから彼女を抜擢した新海誠監督が「とらえどころのない天気のような子。予想がつかなくて目が離せなくなる」と評していたように、多くのクリエイターに大きな可能性を感じさせたようだ。 同年末から開催された『第98回全国高等学校サッカー選手権大会』では、15代目応援マネージャーに就任。新垣結衣、広瀬すず、永野芽郁らも高校時代に選ばれている若手女優の登竜門でブレイクを期待させ、実際その通りになったのが2020年だった。1月に岩井俊二監督の映画『ラストレター』が公開。松たか子が演じた主人公の少女時代と娘の2役を演じた。学校のヒロイン的な姉(広瀬すず)がつき合うことになる男子(神木隆之介)に想いを寄せる役で、明るくも恋心に揺れるジュブナイル感が瑞々しく焼き付いた。 3月末からスタートした連続テレビ小説『エール』(NHK)では、二階堂ふみが演じたヒロイン・関内音の妹の梅役。三姉妹の末っ子のしっかり者で、普段は一歩引いて口数も少ないが、ここぞというときに2人の姉に鋭くも容赦ないひと言を発する役どころだった。朝ドラでは『朝が来た』の吉岡里帆、『ひよっこ』の松本穂香に続くメガネっ子としても話題に。小説家を目指す一方、義兄の作曲家・古山裕一(窪田正孝)に弟子入りした田ノ上五郎(岡部大)との恋模様も描かれ、五郎に方言で「梅って呼びん」と言って交わしたキスシーンもお茶の間を沸かせた。 また、「いつでもスマイルしようね」と歌う生徒会長役の『オロナミンC』CMでも、広く知られるように。そして秋クールの『この恋あたためますか』で、19歳にして主人公の井上樹木役に抜擢された。コンビニで無気力にアルバイトをしていたが、SNSでのスイーツ批評がコンビニチェーン社長・浅羽拓実(中村倫也)の目に止まり、本社でスイーツ開発を手掛ける。仕事をしていく中で、浅羽のことが好きになっていく。 森は雲の上的な美人ではないが、小柄で親近感の持てる可愛らしさを持ち、朗らかで明るいキャラクターも好感度が高い。『恋あた』で樹木に好意を持つパティシエの新谷誠(仲野太賀)が「力がもらえるんですよね」と言うシーンがあったが、視聴者にも同じことを思わせた。一方、切なさや苦悩もさり気なくリアルに見せる演技力も秀逸。そうした持ち味が『恋あた』で発揮されていた。 夢を賭けていたアイドルグループをメジャーデビュー前にクビになった鬱屈、必要とされる喜びを感じてスイーツ開発に猪突猛進の姿、恋心を寄せる浅羽について「社長は私のことをそんなふうには思ってない」と言って見せた涙……。明暗どんな場面も1人の女性の心象が胸を打った。広い層から愛される共感度の高い女優の資質と言えるだろう。2021年にも、松村北斗(SixTONES)とW主演するこじれたラブストーリー『ライアー×ライアー』の公開などが控えている。