古代魚「サカバンバスピス」なぜ話題? 再現模型の絶妙なクオリティが起こしたブーム
クリっとした目にニヤッとした口元で話題の古代生物・サカバンバスピス(sacabambaspis)を知っていますか? 【画像】海外の論文や図鑑に掲載されているリアルな復元図 突如Twitter上などで話題になり、イラストなども多く制作されているこの謎の生き物、一体何者なんでしょうか…?
泳ぐのが下手な古代のいきものサカバンバスピス
サカバンバスピスは、三葉虫類やオウムガイなどが発展したオルドビス紀と呼ばれる時代の生き物。 2013年11月に発行された『Geological Society London Special Publications(ロンドン地質学会特別出版物)』に掲載されている論文「Palaeobiogeography of Early Palaeozoic vertebrates(古生代初期の脊椎動物の古生物地理学)」では、ボリビア、アルゼンチン、オマーンなどに分布していたとされています。 また、イギリスの出版社・DKの図鑑シリーズ「DK findout!」のWeb版では、かつて北米の一部に広がっていた浅い海の沿岸に生息する顎の無い魚であることが説明。 さらに、常に口が開いていて、そこから食べ物の残骸を吸い込んで生きていたことや、一対のヒレが無いためおそらく泳ぐのが下手だったと考えられていることが紹介されています。
フィンランドの博物館に展示された模型
現在話題になっているのは、フィンランドのヘルシンキ自然史博物館に展示されている、サカバンバスピスの復元模型。 海外では、エディアカラ紀からカンブリア紀の魚類を研究するKat Turkさんが、2022年8月にこの模型の写真を投稿。現在までに11万いいねを集めており、何とも言えない表情の魚として話題になっています。 日本においては、生き物に関する不思議なニュースなどを掲載しているサイト・エピネシスが6月8日に「あまりに情けない姿をしていると話題に」としてサカバンバスピスの復元模型を紹介。 このツイートが話題になったことで、一気に知名度を獲得しました。 話題になって以降は、もともとサカバンバスピスのかわいいLINEスタンプを制作していたクリエイター・ばすぴすさんの作品が注目を集めているほか、イラストや動画など様々なサカバンバスピス作品が投稿されています。 イラストなどでは、ヘルシンキ自然史博物館の模型からぷにぷにとした柔らかい体をしているような姿で描かれていることが多いですが、実際のサカバンバスピスは体の上下が固い外骨格でおおわれていたと考えられているようです。 模型の再現度が絶妙なクオリティだったことで起きた奇妙なブームだと言えるでしょう。
小林優介