踏み切り内でなぜ立ち止まったのか 死亡した視覚障害者の女性 進まない安全対策 点字ブロックは関西に4カ所のみ
■踏切を渡る途中で警報音 遮断機の中で失われた命
踏切に入った後に、鳴り始める警報音。 もし何も見えなかったら、何を頼りに進みますか? 見落とされがちな、視覚障害者の踏切の安全について取材しました。 【動画で見る】踏み切り内で視覚障害者の女性はなぜ引き返したのか 置き去りにされた危険 点字ブロックは関西に4カ所のみ 4月25日午後6時15分ごろ、奈良県大和郡山市にある踏切でその事故は起きました。
白杖を持った一人の女性が踏切に向かって歩いていたところ、踏切に入って間もなく警報が鳴り出しました。 遮断機が閉まるなか女性は踏切内で立ち止まり、後ろへと引き返した後、列車と衝突し亡くなりました。
女性は大和郡山市に住む視覚障害者の高垣陽子さん(当時50)。 事故にあったのは、実家で母親と夕食を食べた直後でした。
【高垣陽子さんの姉】 「信じられへんのもあるし、私は(事故の)4日前に会ってる。亡くなった次の日に買いものに連れていく約束をしていて・・・。信じられへんっていうのと、まさか電車の事故で亡くなるなんてみたいな」 高垣さんは20代前半の時、緑内障を患い、少しづつ視力が落ち失明しました。 それでも、その後盲学校に通い、自ら資格を取って鍼灸院を開くなど、活発な性格の人でした。 【高垣陽子さんの姉】 「どこでも歩いていく人やから。1,2時間歩くのは苦にもならへん、というか歩かないとどこも行けへんというか。『姉ちゃんらみたいに車乗れるわけでもないし、歩いて電車に乗ってバスに乗って行かな、どこも行かれへんから』とはいつも言っていた」 高垣さんは週に2回、実家に行くためにこの道を通っていたといいます。 なぜ事故を回避できなかったのでしょうか?
足の感覚を頼りに踏切に入ったかを確認し、道路の端の方を白杖で叩きながら自分がどこにいるのか確認して進みます。 【奈良県視覚障害者福祉協会・辰巳壽啓会長】 「分からへんでこんなん。うわこれ、ひかれるわ。前から車来たら、ひかれるか、挟まれるか…。遮断機が降りてくるのが早い」 辰巳さんは同じ視覚障害者として、当時の高垣さんの状況を想像します。