「カエルサウナ」がカエルを救う、超画期的、日向に置くだけで致死的なツボカビ症から回復
だが、万能薬ではない
ワドル氏らは、「カエルサウナ」のシステムを特に温暖な気候にいるほかの種でも試す予定だ。近絶滅種(Critically Endangered)に指定されているパナマゴールデンフロッグ(Atelopus zeteki)など、より涼しい環境に生息している両生類では、暑くなりすぎてストレスがかかるため、利用できないという。 「すべてに効く万能薬ではありませんが、少しずつでも前進することが重要なのです」とコルビー氏は言う。 カエルツボカビと闘う科学者たちは、弱毒化したツボカビを使ったワクチンも開発している。人間のポリオワクチンと同じようなものだ。 「これはカエルたちにはとても有効です。飼育してから野生に復帰させるなら特に」とワドル氏は言う。オーストラリアのシドニー・オリンピック公園のキンスジアメガエルや、米国のモハベ砂漠に生息する絶滅危惧種(Endangered)のアメリカアカガエルの仲間(Lithobates onca)では、ワクチンの投与に成功している。 種によっては化学的な治療法も有望だが、コルビー氏も述べているように、実験は管理された環境で行われているので、野生動物にそのまま適用するのは難しい。 理想的には、遺伝子の変異によってカエルが耐性を獲得するのが望ましい。そのためにも、カエルサウナのような対策が必要だ。病原菌に適応するまでの時間を稼がなければならない。 ワドル氏は言う。「これは一時しのぎの対策ですが、うまくいけば、自力で生き延びられるようになってくれるはずです」
文=Jessica Taylor Price/訳=鈴木和博