『上垣アナの災害遺構探訪記』年始からトイレの話ですみません…でも災害時は大事なんです【連載#5】
自然災害の歴史から防災を学ぶ、「災害遺構プロジェクト」。 あなたの地域で、過去にどんな災害が起きたのか? 全国の災害遺構をめぐり、先人たちが遺したメッセージや災害の爪痕から、 社会科の教員免許をもつ、 フジテレビの上垣皓太朗アナウンサーが災害の歴史を解説。 また、防災士の視点から、防災に役立つ知識を紹介します。 【写真9枚】『上垣アナの災害遺構探訪記』連載5回目の写真を見る
液状化現象の被害による様々な深刻な影響
上垣アナ: みなさん、こんにちは。上垣皓太朗です。 今年最初の投稿は千葉県浦安市からお届けします。 突然ですが、これ、何か分かりますか? きょう紹介するのは、東京から少しだけ離れて、千葉・浦安市のベイエリアです。 場所:千葉県浦安市高洲(高洲中央公園) 上垣アナ: ここは、ベイエリアの閑静な住宅街にある公園です。 野球場やバスケットコート、広場があり、遊具で遊べるようになっています。 市民の憩いの場といった雰囲気の公園の中に、不思議なものがあるんです。 災害名:東日本大震災(2011年3月11日 M9.0) 上垣アナ: こちらは、東日本大震災の液状化の影響で、浮き上がってしまったマンホールです。 浦安市では、全市域の86パーセントにも及ぶ範囲で地盤の液状化現象が発生し、土砂の噴出や地盤の沈下などが生じました。 このマンホールは、大規模災害時に市民の飲料水を確保するために設置された耐震性貯水槽の一部で、東日本大震災による地震の液状化現象が想定を超える大きなものであったため浮き上がってしまったそうです。 上垣アナ: マンホールが浮き上がってくる被害により、上下水道に深刻な影響が出てしまいます。下水道が使えなくなる、すなわちトイレが使えなくなるんです。 能登半島地震でもトイレが使えなくなったのは記憶に新しいところではありますが、能登でもマンホールが飛び出している光景は至る所で見られました。 上垣アナ: この遺構には、日常生活に大きな影響を受けたにもかかわらず、市民が互いに協力し、助け合って復旧作業を行ったことも刻まれています。 市民の憩いの場で、地域の「共助」について改めて考えるきっかけになっているのかもしれません。