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藤井聡太二冠「予想外で驚いた」…本音引き出すこども記者の“妙手”

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西日本新聞

コラム【風向計】

 「小学生記者の“妙手”にタジタジ!?」「こども記者の一手に思わず“待った”!?」。こんな見出しが全国のスポーツ各紙に躍った。 【画像】こども記者が質問「藤井さん、走るタイムは何秒ですか?」  福岡市で8月にあった将棋の第61期王位戦第4局。前日の記者会見で本紙こども記者が活躍する様子を伝えるニュースだ。「体力づくりは?」という意表を突く質問に藤井聡太二冠はたじろぎながらも丁寧に返答。藤井二冠と29歳の年の差で「対戦しにくくないか」と聞かれた木村一基王位(当時)もにやりと笑い「鋭い質問」と応じた。  数日後にはテレビ局から取材も受け、「別角度の質問で切り込んだ人物を直撃!」と全国放送された。

 ついにこの時が来た! こども記者と取材を共にする身として、うれしさがこみ上げた。この2人に限らず、こども記者の質問はいつも鋭い。相手の本音を引き出す力があることも知らしめたのだ。  他のこども記者たちも両棋士について調べ、懸命に練った質問を準備していた。「(藤井さんは)長い対局中に将棋以外のことを考えることは?」「(木村さんに)若者に負けたくない!という思いは?」。人数制限で会見には参加できなかったものの、返答が気になるものばかりだった。

 3年ほど前、同僚が引率した考古学者吉村作治さんの取材ではこんなことを聞いた。  「何も発見できないと調査をあきらめるんですか」  エジプト考古学の第一人者に対して失礼では、との大人の不安とは裏腹に「あきらめない。だからさまざまな発見ができた」とプロフェッショナルの本質に迫る回答を得られた。さらに「あきらめたらそこでおしまい。苦しいときほど知恵を働かせてピンチをチャンスに変えよう」というメッセージも添えられた。  ウガンダ出身の黒人男性に「黒人は髪の毛がくるくるしてるイメージ」と言った子もいた。人種や外見という話題にするのをためらいがちなテーマだが、男性は「アフリカは暑い地域が多い。髪の間を風が通って涼しいんだよ」と言って頭を触らせてくれた。

 心に浮かぶ疑問や思いを知ったかぶりせずにぶつける「鋭さ」は相手を逃さない。前提となる知識のない子どもに紋切り型の回答は通用しないから職人も、経営者も、戦争の語り部も、言葉を選びながら丁寧に答えてくれるのだ。  藤井二冠も質問に「予想外で驚いた」と話していた。だからこそ飾らない正直な言葉を引き出せたのだろう。 (こどもタイムズ編集部・中野慧)

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