飲料容器を“食べさせる”リサイクルの新発想 異業種交流から生まれた「ベトベター満腹大作戦」とは? ポケモン・日本IBM・日本コカの有志社員が協働
1996年に誕生したポケモン創成期の151キャラクターの1つであるベトベター。このほど、このベトベターに、飲み終わったペットボトル(PET)・缶・瓶の飲料容器を“食べさせる”ようにして投入口に入れるリサイクルボックスが考案された。 その名は「はらぺこベトベター」。 (株)ポケモン、日本IBM、日本コカ・コーラの有志社員らが、社会的な関心が高まるプラスチックごみ問題をクリエイティブな方法で解決することを目的に飲料容器リサイクル促進プロジェクト「ベトベターの満腹大作戦」を立ち上げ約1年かけて「はらぺこベトベター」を共同で構想・制作した。
「はらぺこベトベター」は、PETや缶の飲料容器が大好物で食べさせてあげると喜んで鳴き声を出す設定で、IBMの技術によって容器の種類によって反応が変わるようになっている。 IBMの技術は、IoTとAIを組み合わせたものとなる。 まず「はらぺこベトべター」の口の中に組み込まれたカメラが対象物を撮影。次にIBMのクラウドに画像をアップロードしWatson(AI)が画像を認識。その認識結果を「はらぺこベトベター」にフィードバッグし、認識結果を元に食べたものを鳴き声で伝える仕組みになっている。 「ペットベタゥ~(PET)」「タン!(缶)」「ベン!(瓶)」といった具合に発する。 AIは事前に飲料容器の違いを学習し、一般ゴミや飲み残し、コンビニやカフェチェーンのプラスチックカップなどは“食べられないもの”としている。 これにより「飲み終わった飲料容器は一般ゴミなどと混ぜられることなくきれいな状態で回収されればリサイクルにつながる」とった事実を多くの人に知らしめる。これが満腹大作戦の骨子となる。 認識結果はWEBサイトにもフィードバッグされ、投函された飲料容器回収の集計データも参照できるようになっている。
満腹大作戦の旗振り役は以下の3人。昨年、とあるイベントで同じ席についたことがきっかけで異業種交流へと発展したという。 ▽(株)ポケモン統括本部プレイヤーリレーション部の内藤剛史氏 ▽日本IBMシステムズ・エンジニアリング(ISE)の白石歩氏 ▽日本コカ・コーラの柴本健太郎技術本部QSE環境サステナビリティガバナンスマネージャー 異業種交流は、(株)ポケモンが実施したワークショップで「IoT を活用して街をキレイにする ベトベター」というアイデアコンセプトをISEの白石氏が発案したことで始動。このアイデアを日本コカの柴本氏が2人の了承のもとザ・コカ コーラカンパニー(米国本社)が主催する社内ハッカソンイベントに応募。11月に3社計19人の有志社員からなる共同プロジェクトがスタートした。 プロジェクトの趣旨ついて日本コカの柴本氏は「異業種の方に飲料容器のリサイクルの仕組みやリサイクルボックスの役割を知ってもらうことに価値がある。突拍子もない発想はなかなか同業からは生まれてこない。これからも交流を続けていきたい」と語った。