EV向けの新軟磁性材、大同特殊鋼が開発。世界最高の磁気ノイズ抑制効果
大同特殊鋼(社長・石黒武氏)は13日、EVや電子通信機器の電磁波ノイズを幅広い周波数帯で抑制する新たなパーマロイ箔製品(軟磁性材)3種を開発・商品化したと発表した。IoT機器や電動車、自動運転の普及により高まる電磁波ノイズ抑制ニーズに対応し、kHzからMHz帯以下の磁気ノイズを効果的に抑制する。フープ材、シート形状のため、打ち抜き加工の形状自由度・耐久性も高く電子機器等への貼り付けも容易で絶縁材を介した積層シートとしても使える。 デジタル機器の普及で、動作周波数の高い電磁波ノイズの発生増や電源電圧が低いことによるノイズ影響増の問題がクローズアップされている。 また、自動車の電動化でモータ駆動用のインバータから発生する電磁波ノイズの除去が誤動作の原因になるため、ノイズ抑制は切実な課題。 通常、コアなどの受動部品をはじめ、電磁波吸収体やシールド材を用いるが、焼結フェライトでは対応周波数領域などに課題が残り、改善が求められていた。 同社では、EVの走行距離増加や、使用者の安全向上につながる軟磁性材を順次開発。採用実績も多い。 今回、世界最高レベルのノイズ抑制効果を持つパーマロイ箔「STARPAS」(外部の磁界を取り除くと急速に磁気がなくなり、元の状態に戻る材料)を開発。今月から販売を開始した。 同社の最高透磁率材「MEN・PCー2S」を厚み10μm~30μmに箔化した製品で、100kHzの比透磁率(真空の透磁率に対する相対比率)は4800以上(厚み100μmのMEN・PC―2Sの2・7倍以上)、1MHzでは1400以上(同3・9倍以上)とハイレベル。 EVや自動運転の普及によるニーズ拡大で、今後の採用増を見込んでいる。