「自分のファンばかりに囲まれて…」河野太郎氏のTwitterは本当に「暇つぶし」なのか?
自らの意見と合わないフォロワーへのブロックを連発し、さらにメディアを「フェイク」「デタラメ」と批判する河野太郎行政改革相(自民、衆院神奈川15区)。新型コロナウイルス感染拡大の切り札であるワクチンを担当することにもなったが、そのコミュニケーションは「トランプ氏的」であると識者は指摘する。分断を産む、大きな危険性を孕んでいる、とも。Twitterの一部では人気を博す、その手法の何が問題なのか。【BuzzFeed Japan/籏智 広太】
フォロワー数約226万人。日本の現役閣僚としては最多、現役政治家としても安倍晋三前首相に次ぎ2位を誇る河野氏のTwitterは、これまでも注目を集めてきた。 自らの日常に止まることなく、外務、防衛、行政改革と大臣を歴任するなかで、関連情報や国際会議の裏側などの発信も続けている。 「タローを探せ」といった写真クイズなどを交え、「ファン」との交流にも勤しんでいる一方、批判的なユーザーに対しブロックを連発することから「ブロック太郎」などと揶揄されることもある。 「私もそれで失敗することがあるのですが、Twitterは私的なコミュニケーションと公的な情報発信が混在しやすく、使い方が難しいメディアです。河野さんは『暇つぶし』と、私的なものであると強調していますが、公的な情報も多く発信している。どういう性格なものなのか、いまいちわかりません」 政治とメディアの関わりにくわしい法政大学の津田正太郎教授は、河野氏のTwitterの使い方について、そう指摘する。 河野氏は自らのTwitterについて、たびたび「暇つぶし」と言及してきた。たとえば昨年2月に沖縄タイムズ記者へのブロックが問題視されたとき、会見で「個人が暇つぶしでやっているものにとやかく言われることはない」と答えている。
「都合よく使い分けている」
しかし、津田教授はこうした言い分には「無理がある」と強調する。 「河野氏は防衛大臣に就任した際に自衛隊の活動施策について発信していきたいと述べている。つまり、公的な性格を持つということを全面的に否定しているわけではありません」 この発言は、2019年9月に防衛相に就任時のもの。実際、河野氏は自らのTwitterを防衛省についての発信、つまり公務に「使わない手はない」と述べているのだ。 《多くの方にツイッターをフォローしてもらうと、その中で外交的な話を出して読んでもらえた、という部分がありましたので、できれば自衛隊の活動や安全保障政策について、あるいは、防衛省について情報発信を織り交ぜていきたいと思っています。私のツイッターは元々暇つぶしで始めたものですから、これだけフォローしてくれる方が増えましたので、それを使わない手はないなと思っております》 津田教授は「フォロワーも200万人おり、閣僚という立場であることからすれば、純粋に私的な暇つぶしと正当化するのは無理がある」と指摘する。 「批判が飛んだ際の防弾幕として、都合よく私的、公的を使い分けている疑念はぬぐいきれません。私的な情報発信をやるなというわけではありませんが、自分のアカウントには公的な性格があるんだということをハッキリ言ってしまったほうが良いのではないでしょうか」 「そもそもブロックについても、ふたつの問題点があります。河野さんの発信する公的な情報について、批判的な立場を持つ一部の人びとが見られないということは、情報公開の観点からすると大きな問題。知る権利を侵害していると言えます」 「また、自分にとって耳の痛い意見をブロックしていくのも、政治家としては感心しません。批判に対し耳を傾けないまま、自分のファンばかりに囲まれて政治をやっていくと、周りが見えなくなり、サレントマジョリティが望んでいることと自らの方向性とが乖離してしまう可能性があるのではないでしょうか」