70歳でこの肉体「人任せの健康はありえない」藤波辰爾、“異次元マッチ”に気合 日本初「お城プロレス」も大成功
プロレスの露出減に危機感 「我々の役目はまだある」
なぜ、藤波はリングを目指し続けるのか。その答えは明快だ。 「変にプロレス界を背負うとか大袈裟じゃなくて、プロレスが好きなんだよね。同世代が自分より早く引退してしまう。中には猪木さんのようにいなくなってしまう。非常にプロレスに対してさみしさもあるし、ファンはもっとむなしいと思っているんじゃないか」 マット界に世代交代が進んでいても、レジェンドの姿が見たいファンはたくさんいる。しかし、その居場所は時がたつにつれ狭まり、虚無感すら漂うようになっている。 藤波の主催するリングは、昭和の熱気にあふれている。どの団体にもない独特の雰囲気に包まれる。 「うちの大会は高齢の方が非常に多い。あの頃のファンはあの頃に帰れるんだよね。往年のファン、昭和のファンの行くところをやっと作ってあげれた。全盛期からすればプロレスは露出も少なくなっている。いい時代のファンが行き場所がない。できるだけ長く居場所を作ってあげたい。我々の役目はまだある。せめて自分がリングに立っていれば、火を灯せば、ファンは集まってくる」 現役であることが、体調管理にも好影響を及ぼしている。 「プロレスが好きだ、が第一。それと自分自身がプロレスからエネルギーをもらっている。リングはパワースポットだもん。みんなに言っている。プロレスの会場来たらリングに触ったら元気になりますよって」 他のスポーツと違い、裸を見せる職業だ。スーツでトークショーというわけにはいかない。中途半端な状態で上がれば、危険も伴う。
落合博満、松任谷由実…同じ1953年生まれは「元気を売り物」
トレーニングは欠かさない。出張中でも時間があれば、体を動かしている。長年染みついた習慣だ。「体調は維持だね。70だからね。維持をするのが自分にとって一番ベスト。ある程度よしとする部分で、体調を整えていく」。普段は近所の24時間ジムで汗を流す。道場は持っていないため、リング上での練習は限られるが、「道場は今までの実戦でやってきている」と圧倒的な経験でカバー。「ちょっとコレ、お客さんの前にさらけ出すのは耐えられないなと思ったらリングに上がろうとは思わないけど、動けてキープできる間は。今はお城プロレスが実現してテンションも上がっている。いいエネルギーもらった」と声をはずませた。 同じ1953年生まれの著名人も意識している。 「野球では落合(博満)さんもそう。芸能界ではユーミン(松任谷由実)も同じくらい。松平健さんもそう。あの世代はみんな『元気があれば24時間働きます』じゃないけど、元気を売り物にしているからね」 負けてはいられないと、闘志は点火している。 ヒロムとは36歳差の異次元マッチだ。 「タイプは違う。変に意識をする必要はない。自分が持っているものをそのまま出せばいい」 気負いはないが、自身2年ぶりとなるシングル戦に気合は入る。 「タッグマッチや6人タッグはパートナーがいるからどうしても頼ってしまう。今回はタッグとは違う。始まってしまえば勝負つくまで彼と向き合う」と話し、臨戦態勢を整えた。
水沼一夫