「江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気を楽しんで」 滋賀・彦根城の庭園で屋形船復活の動き
江戸時代、彦根城内の大名庭園「玄宮園」で使われた屋形船を復活させようと、彦根観光協会（滋賀県彦根市本町1丁目）が、国内外からの来場者をもてなす「迎賓船」をイメージした和船づくりに取り組んでいる。今秋の紅葉シーズンにお披露目し、新たな観光コンテンツとして活用していく。 【写真】彦根のキャラクターといえば
彦根城博物館や彦根市文化財課によると、玄宮園の池「魚躍沼（ぎょやくしょう）」には、彦根藩の重臣や文化人らを招いた際に活用した屋形船があった。現存はしないが、江戸後期の様子を描いた「玄宮園図」（同博物館所蔵）には、屋根付きで紅白の幕が施された屋形船が、庭園全体を見渡せる臨池閣近くに係留されている様子が描かれている。
観光協会は、市が城の世界遺産登録を目指す中、活動の機運を高め、来客を魅了する新たな観光コンテンツとして発信しようと、復活事業を企画した。
新たな船は、魚躍沼の管理に使われている彦根市の田舟を借りて、水に強いヒノキや杉を使用した和船（長さ約6メートル、幅約1・3メートル）に仕上げる。文化財修理や社寺建築を手がける鈴木古建築（同市）が製作を進めており、9月中に完成する見通し。
観光協会は、紅葉を彩る11月の玄宮園ライトアップの時期に進水式を行う予定。安全性を確認した上で、乗船など具体的な運航計画を市と調整していく。協会理事も務める棟梁（とうりょう）の鈴木大祐さんは「乗船したり、船上で演奏する雅楽を聞いたり、昔の優雅な彦根の風情を復活させたい。江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気を楽しんでほしい」と語り、作業に力を入れている。
製作費や運営費の一部の100万円について、観光協会は10月末まで会員や一般から寄付を募っている。個人は一口5千円、法人は同1万円から。また、協会事務局やJR彦根駅の観光案内所など3カ所に募金箱を設置し、協力を求めている。問い合わせは同協会0749（23）0001。
