平和が続いて体制にほころびが生じていた? 隆家の活躍で窮地を脱した「刀伊の入寇」であらわになった日本の危機【『光る君へ』満喫リポート】
ライターI(以下I):『光る君へ』では平安貴族の政(まつりごと)の様子がきちんと描かれました。公卿が国の施政の方針を決める陣定(じんのさだめ)の様子など、知識としては知っていても劇中でその様子がでてくると、なるほどと思わされるシーンが続出しました。 写真はこちらから→平和が続いて体制にほころびが生じていた? 隆家の活躍で窮地を脱した「刀伊の入寇」であらわになった日本の危機【『光る君へ』満喫リポート】 編集者A(以下A):残り2回という第47回でもそうした場面が登場しました。その場面を見てしみじみと感じたことがあります。登場メンバーは「四納言」と称される道長(演・柄本佑)側近の藤原公任(演・町田啓太)、斉信(演・金田哲)、行成(演・渡辺大知)、源俊賢(演・本田大輔)に加えて、おなじみの藤原実資(演・秋山竜次)、顕光(演・宮川一朗太)、公季(演・米村拓彰)、実資の養子資平(演・篠田諒)。さらには道長の息子の頼通(演・渡邊圭祐)、教通(演・姫子松柾)などです。 I:ほとんどが藤原北家の人たちで道長の曾祖父にあたる藤原忠平を起点としたメンバーですね。 A:忠平を起点として、長子を嫡流という考えでいえば、藤原行成が嫡流なのですが、実際の権力は、「傍流」の道長が掌握しているわけです。そして、同じようなメンバーがずいぶん長期にわたって政治を動かしてきたことがわかります。今週は、道長と実資のやり取り、陣定での公卿とのやり取りに感じ入ったという人が多かったのではないでしょうか。道長と実資は祖父が兄弟のはとこの関係になるのですが、道長は長きにわたって実資を「政権内」の「有力者」として遇してきました。それだけ実資が優秀だったのでしょう。 I:『光る君へ』では、秋山竜次さんの存在にほっこりさせられることが多かったです。『小右記(しょうゆうき)』という日記を遺して、当時の歴史、考えを今に伝えてくれる功労者でもありますし、キャスティングの妙ですよね。 A:作者の大石静さんが11月30日にNHK文化センター青山教室での講座で『光る君へ』に込めた思いを語る講座をやっておられたので、一介の大河ドラマファンとしていそいそと参加したのですが、作者の秋山竜次さんへの思い入れの深さに触れて、ちょっと感動しました。 I:公卿らが、陣定を通じて熱心に刀伊の入寇について対応を論じていたのですが、このときすで現地では解決していたのですよね。 A:そうなんです。いったい何が起こっていたのか。
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