丸紅、リチウムイオン電池リサイクルで北米企業と協業。正極材などをアジアで販売
丸紅は17日、北米最大手電池リサイクル業者であるリトリーブ・テクノロジーズ(米国オハイオ州)とリチウムイオン電池(LIB)リサイクルに関する事業開発で戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。廃LIBからコバルトやニッケルを精製し、電池材料分野向けで活用するクローズドループリサイクリングのビジネスを共同で確立する。主に北米地域で集荷した廃LIBから金属を回収し、それを原料に硫酸塩や前駆体、正極材を製造して日本や中国などアジア地域で販売する計画。2021年度上期をめどに試作品の製造を開始し、22年度からの量産化を目指す。 リトリーブ社は、北米における電池リサイクル業界の先駆者で、同社の廃LIB処理量は北米最大規模。民生用及び車載用の廃LIBを集荷や破砕、分離の処理を施し、有価金属を回収・販売している。丸紅は1985年にザンビアのコバルト生産者の対日向け独占販売権を取得後、電池材料分野の原料トレーディングに携わっている。 今回の協業ではリトリーブが回収したコバルトやニッケルといった金属を原料として、同分野での技術的知識と専門性を持つ日本の化学メーカーで硫酸塩や前駆体、正極材に加工し、アジア地域での販売を目指す。リトリーブ社、丸紅、化学メーカーの三者ですでに保有する技術、ノウハウを活用するため、商業化までスムーズに移行できると見込む。 電気自動車の急速な普及拡大に伴い、廃LIBの発生量は今後増加していくと見込まれ、廃LIBの適切なリサイクル処理と再利用は社会課題の一つとなる。同事業ではバッテリーtoバッテリーのクローズドループリサイクリングのビジネスモデル構築を目指し、社会課題の解決への貢献を目指す。