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「感染者ゼロ」の北朝鮮がワクチン開発、真の目的は生物兵器の開発か

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クーリエ・ジャポン

ついに感染者が出たと思いきや… 北朝鮮に1人目の新型コロナウイルス感染者が出たと明らかになったのは、7月26日のこと。 韓国の英字紙「コレア・ヘラルド」は、「北朝鮮は27日、脱北した後に韓国から再入国した『逃亡者』が新型コロナウイルスに感染している疑いが出たとして、金正恩委員長は非常事態を宣言して開城(ケソン)の封鎖を命じた」と報じた。 だが韓国側では「衛生当局者がこの脱北者が新型コロナウイルスに感染していた可能性は低いと述べていた」とも書く。 そして30日になり、「北朝鮮の国営メディア『労働新聞』は、新型コロナの症状がある脱北者が帰国したことで開城を封鎖したにも関わらず、北朝鮮には新型コロナウィルスの感染者は1人もいないと改めて報じた」という。 「労働新聞」は非常事態宣言や開城封鎖には言及することなく、「我が国では今のところ、ただの1人として新型コロナウイルスに感染したものはいない」と再び従来通りの主張をし始めている。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、この脱北者は21歳で、2017年に川を渡って脱北したが、最近になって再び北朝鮮に舞い戻っていた。しかも韓国では「レイプ容疑で指名手配されていた」という。結局、この脱北者が実際に陽性だったのかどうかも、現時点ではわからない。 だがロシア「タス通信」は、在北朝鮮のロシア大使館は開城封鎖を受け、現地に暮らす27人のロシア人を北朝鮮国外に移動させたと報じている。ロシアがどこまで実態を把握しているのかはわからないが、何かこれまでとは違う動きがあるということかもしれない。 そもそも北朝鮮は、1月、中国で新型コロナウイルスが広がるとすぐに同国との国境を封鎖している。そのうえで、いまだに1人として新型コロナの感染者を出していないと主張し続けてきた。 そんな北朝鮮が先日、独自で新型コロナのワクチンを開発すると発表したことで話題になっている。国家科学技術委員会の発表によれば「すでに臨床実験まで行なっている」というが、専門家らの見方は懐疑的だ。そもそも感染者がいないのにワクチンは必要なのか、との声もある。 この話は「怪しい」と報じるのが米TV「CNN」だ。北朝鮮の医療制度は脆弱で、電力や水も乏しくボロボロなため、「各種ワクチンや予防接種は何十年も渡ってWHO(世界保健機関)からの支援に依存してきた」ほどで、「莫大な費用がかかる新型コロナのワクチン開発」をできるはずがないという。 米ニュースサイト「クオーツ」は、そもそも「ワクチンの効果を調べるにしても、北朝鮮国内に感染者が1人もいない状況では、専門家たちは臨床試験を海外で行う必要があるだろう」と指摘する。しかし現在、国外への渡航は容易ではない。 米ニュースサイト「ポリティコ」は、このワクチン開発における最大の動機は「国境を開けて経済活動を再開すること」という専門家のコメントを紹介しつつ、別の専門家らによる北朝鮮の不穏な「陰謀」を指摘する。 オバマ政権時のアンドリュー・ウェーバー元国防次官補(核・化学・生物兵器防衛担当)は、北朝鮮が「ワクチン開発を名目に、バイオテクノロジーの能力向上を狙う可能性がある」と指摘し、「欧米や中国からワクチン開発に必要な物を購入し、翌年には生物兵器の開発に転用する可能性がある」と主張している。 ただ北朝鮮は、米政府や国連などからの経済制裁により、国外から物を購入できないはずだ。これについて米ランド研究所の国防研究者、ブルース・ベネットは「新型コロナウイルスに関連するものなら何でも人道支援、または人道支援物品と見なされるため、国際的な経済制裁では禁じられない」と言う。 事実、新型コロナウイルスの影響で「1つひとつ許可が必要になるが、これまでも北朝鮮には人道支援の物品が運ばれている。いろいろなものがその中に紛れ込んでいる可能性はあるだろう」とも指摘する。 一方で英紙「エクスプレス」はこう報じていた。 「北朝鮮国内の情報源によれば、政府高官や起業家層の多くが、国外にいる知り合いなどに外国製の新型コロナのワクチンを完成し次第、金に糸目はつけずに購入すると問い合わせている」 そして、中国にもワクチン入手のお願いが殺到しているという。 とにかく世界で最も閉鎖された国のひとつである北朝鮮のこと。国内の状況はよくわからない。ただ、とにかくワクチンを欲しがっていることは間違いなさそうだ。

Toshihiro Yamada

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