本物の元素を1cm角キューブにした”標本セット”を買いました
「元素」を手に取れるっていうのは、なんかいいですよね。これが高校の頃、家にあったら、もうちょっと元素に興味がもてたような気がするなぁ。 【もっと写真を見る】 ●なんかカッコいい元素の標本を買いました
リアル店舗で物を買うことがめっきり減り、たいていの物はポチってきたワタクシ。特に趣味系の物は沖縄やアメリカの店だったりヤフオクやメルカリだったりして、ネット経由が100%と言ってもいいぐらいです。 が! 先日は珍しくリアルで買い物をしました。元素標本キューブ16種セットという趣味全開のアイテム(価格2万6500円)です。 これを知ったのはXでした。TLをつらつらと見ていたら、「元素標本の通販予約を開始」ってポストが流れてきたんですよね。それで、元素の標本ですと!? ってなって。ずっと昔に「水兵リーベ僕の船」って覚えたアレの標本です。 標本って化学の授業でも見たことはあるんですけど、なんか石のカケラとか砂みたいなのが入った小瓶が木枠に並んでいるというような物で、いかにも教材って感じでした。しかも当時は、元素といったら名称や原子番号、特性などを覚えなくちゃいけないっていう勉強の対象であって、興味があったわけでもないから、見てもふーんとしか思わず。 それに対してこちらは大きさが揃ったキューブ状で、表面に元素のデータが印字されていて何ともカッコいいんですよ。学校の標本の紙ラベルとは段違いです。 「本物の元素を1cm角キューブにした」とか書かれてるし、こんなの気になるに決まってるじゃないですか。で、早速リンクから通販ページに飛んでみたのでした。 ●元素は全部で16種類 ポストをしていたのは葡萄屋さんというネットショップです。説明によると、元素標本は材料系専門の会社に製作依頼をしているオリジナル商品とのこと。 いま存在が確認されている元素は全部で118種類なのかな。セットに入っているのはそのうちの15種類です。そりゃ全部の標本があるわけないですよね。常温で気体の水素やヘリウムなんかはキューブにできないし、毒性のあるものや放射性元素は当然扱えませんから。 あと、金みたいな高価なのもちょっと無理。でも銀はオプションで用意されていました。全部で16種類ということですね。 この銀の標本は純度がなんと99.99%。純銀は99.9%以上なので余裕で純銀です。アクセサリーやカトラリーなどでよく使われるのはシルバー925とかスターリングシルバーと呼ばれるもので、その純度は92.5%。純銀では柔らかすぎるため銅などを混ぜているそうで、そう考えると純粋な銀って滅多に手にしないのかもしれないですね。 金に比べたら1/80ぐらいのお値段とはいえほかの元素に比べたらやっぱりお高くて、15種類セットが1万8500円なのにこれ1個で8000円もします。でもまあせっかくだから買っちゃいますよね。 ●イベントで買えそうな予感 残念だったのは、好評で在庫がないため発送まで約1ヵ月かかるとなっていたこと。だから販売開始ではなく予約開始だったんですね。 欲しいとなったらすぐにでも欲しいけど、無いものは無いんだから仕方ありません。で、予約注文ボタンをポチッとしようとしたところでQ&Aに「イベント出展で多忙」と書かれていることに気づきました。Xのアカウントのプロフィールにも「毎週どこかのイベントにいます」って書かれてるし。それはひょっとして、通販在庫はないけどイベントでなら買えたりするってことかしら? とX内を検索をすると、ミネラルマルシェで買ったというポストを発見しました。 ミネラルマルシェ? また何か知らない世界が! そんな時のGoogle様頼り。ググってみたら、なんでも日本の各地で開催している天然石や化石などの展示販売イベントなのだとか。葡萄屋さんはそこに出展していたようです。東京でも開催されてるのかな? と開催情報を見ると、なんと明日秋葉原で開催されるじゃないですか! 会場配置図に葡萄屋さんの名前もあります。マジか! ブースで販売があるのかどうかはわからないけど、神様の「さあ買いなさい」という声が聞こえた気がしました。 ●銀も入った16個セットを無事ゲット というわけで翌日、ちょうどイベントのオープン時間ごろに会場に到着。一直線に葡萄屋さんのブースへ。 ブースでは単品販売をしていて、タングステンが3000円、銀が8000円、そのほかは全て1000円でした。「セットもありますか?」と訊いてみると、もちろんありますよ、と。「銀も欲しいんです」と伝えたら、銀も含めた16個セットがあるとのことだったので、当然のように即買いです。 キューブは真空パックされているので、持ち帰る時に傷が付く心配はありません。キューブが1個ぴったり入る専用のケースもあって、キューブと一緒に買うと1個100円(単品だと200円)でした。セットの場合はそれがキューブの個数分付いてきます。16種だと16個ですね。 ●キューブには元素のデータが刻印されています キューブは無塗装で、表面にはその元素のデータがレーザー加工で刻印されています。元素そのままの色がわかるし、シャープな刻印がいい感じ。 右上の数字は原子番号で、真ん中に大きく刻印されているのは元素記号、その下は元素の英語名です。一番下に書かれたD=に続く数値は各元素の密度で、1cm³あたりのグラム数となっています。1cm角のキューブなのでDの数字=キューブの重さということですね。 セットに入っている16個の元素を原子番号順に並べると以下のようになります。 6 C:炭素 D=1.82 12 Mg:マグネシウム D=1.738 13 Al:アルミニウム D=2.7 22 Ti:チタン D=4.507 24 Cr:クロム D=7.19 26 Fe:鉄 D=7.874 28 Ni:ニッケル D=8.9 29 Cu:銅 D=8.96 30 Zn:亜鉛 D=7.14 40 Zr:ジルコニウム D=6.51 47 Ag:銀 D=10.49 50 Sn:スズ D=7.31 51 Sb:アンチモン D=6.697 74 W:タングステン D=19.25 82 Pb:鉛 D=11.34 83 Bi:ビスマス D=9.78 基本的には金属元素ですが、炭素は非金属元素でアンチモンは半金属です。サイトにあったデータによると純度は元素によって異なり、最大が銀の99.99%で、最小はチタンとニッケルの99.6%、鉄が99.93%。そのほかは全て99.95%だそうです。ほぼ100%みたいな値なので、手に取った時の重さの違いは各元素の重さの違いを正確に表していると言えそうです。 ●取り扱いは必ずピンセットで パックからキューブを取り出した時、手で直接掴むと指紋や脂が付いたりするし、鉄やアルミなどは錆びてしまう可能性があります。なので、錆びちゃっても構わないという人以外はピンセットが必須。一般的なステンレス製だと傷がついてしまいそうなので、グラスファイバー製の物を買ってきました。 まずはパックを開けますが、中でキューブどうしがガチャガチャぶつかると嫌なので、周囲をハサミで切ってガバッと開きます。 ●ケースに入れましょう 普通はケースというと高さがある方が本体で薄い方がフタですが、この専用ケースは逆にデザインされています。じゃないと上の方に境目が来ちゃって美しくないですからね。薄い方にキューブを置いて、上側を被せてギュッとはめ込めばセット完了です。 ケースに入れるとインテリア感が出てくる気がします。入れる前の、元素の塊です!っていう無骨な感じも捨てがたいけど、こっちの方が好きかなぁ。 同じ手順で16個をケースに入れたら、あとはもう転がしたり手に乗せたりしても大丈夫です。 こうして元素を手に取れるっていうのは、なんかいいですよね。 原子番号が大きい方が重いわけじゃないっていうことが一発でわかるし、電球のフィラメントとか徹甲弾の弾芯ぐらいでしか知らなかったタングステンが、こんなに重いんだなとか実感できたりするし。密度19.25g/cm³って、重いので有名な金の19.32g/cm³に匹敵する重さですもんね。 あと元素の色を見れるっていうところも。チタンの色っていいよなとか、元素によってこんなに色味が違うのってどうしてだろうって疑問が湧き起こってきたりとか。これが高校の頃にあったら、もうちょっと元素に興味がもてたような気がするなぁ。 <おまけ> 葡萄屋さんは「やぶ堂」という雑貨店もやられているとかで、ブースで見かけて思わず「100億ジンバブエドル札」(価格1000円)と「ヤマアラシの針」(価格1000円)も買ってしまいました。 訂正:本編と関係のない文言が一部混ざっていたため削除しました(2024年10月7日) 文● むきみ(@TK6506) 編集● こーのス