人手不足企業は45.9%、コロナ禍前の水準に迫る 特にIT業界で深刻、非正社員では飲食店や旅館・ホテルで人手不足が目立つ
非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「飲食店」が77.3%でトップとなった。全業種中で唯一の7割台となり、深刻な人手不足となっている。次いで、「旅館・ホテル」も56.1%と高い。企業からは「県民割の適用により、旅行客が増加している」(旅館・長崎県)や「決して楽観できる状況ではないが、まん延防止等重点措置が解除され昨年よりは良い」(旅館、愛媛県)といった声があるように、旅行客が戻ってきていることが人手不足の背景にありそうだ。 また、正社員と同様に「人材派遣・紹介」(53.6%)や「メンテナンス・警備・検査」(43.9%)なども高かった。「繊維・繊維製品・服飾品小売」(42.9%)も新型コロナによって影響を受けた業種であるが、徐々に人手不足感が上昇している。
コロナに左右される人手不足、いち早く抜け出せる施策を打てるかがカギ
国内企業の人手不足割合は、正社員・非正社員それぞれにおいてコロナ前の水準に迫ろうとしている。情報サービス業ではIT人材の不足が目立ち、飲食店、旅館・ホテル業など元来人手不足割合が高かった業種では不足感が再燃している。アフターコロナへと移ろうなかで、今後さらに不足感が上昇すると考えられる。 生産年齢人口の減少などにより、今後はこれまで以上に採用が難しくなることが予想されており、人手不足の解消は事業継続や成長に向けて避けられない。2021年に人手不足を主な要因として倒産したケースが104件発生した。2年連続で大幅に減少し4年ぶりの低水準となったものの、こうした人手不足感の高まりを踏まえると、増加に転ずる可能性も否定できない。 政府も人手不足の解消に欠かせないデジタル化やDXを推進している。2021年9月にはデジタル庁が発足。また、地方からデジタルの実装を進め、地方と都市における差の縮小を目指す「デジタル田園都市国家構想」も本格化している。こうした時流に乗り、将来を見据ながら人手不足の解消に向けて積極的に取り組むことは、事業継続を左右する大きなファクターとなるだろう。