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首都圏の感染飛び火、宣言前に警戒も 北関東の水際対策

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朝日新聞デジタル

 大都市圏を中心に感染が広がった新型コロナウイルスは、外出や移動自粛の機運を高めた。首都圏に隣接する北関東3県の知事は、水際対策にどんな手を打ったのか。  首都圏と接する3県は、流入対策が大きな課題となった。群馬県の山本一太知事は、大型連休中に宿泊施設に対して休業要請したり、道路や駅に検温網を張り巡らしたりするなど、3県の中でも最も前のめりな対策をとった。  力を入れたのは、県管理の道路や主要駅での検温だ。県によると、大型連休を含めた9日間に、観光地とを結ぶ幹線道路3カ所で検温を実施。通行車両の約15%にあたる計4235台が協力した。このうち県外車の割合は15%だった。県境には「検温しよう」などと書かれた看板も設置した。  JR高崎駅と東武館林駅では、4月20日からの40日間で計1万2281人が協力した。37・5度以上の発熱が確認できた人にはチラシやポスターで保健所の連絡先を案内するなどしたという。だが道路と駅で実際に発熱していた人の数は「任意の検温で、実施する環境で精度も異なる」として明らかにしていない。  これらは、あくまで「意識啓発」という位置づけで、どれだけの効果があったかの検証は難しい。  大型連休期間の4月29日からは、宿泊施設なども「人の移動を抑制する」として休業要請の対象に追加した。ホテルや旅館、キャンプ場などの県内約1600の宿泊施設と、ゴルフ場やスキー場、ロープウェーなど約100の観光施設が対象になった。解除したのは5月7日からだった。  栃木も大型連休中に観光地の宿泊施設に休業要請を出した。茨城は宿泊施設への規制はしなかった。(森岡航平)      ◇  茨城県も首都圏との人の往来がもたらす感染防止に重点を置いたが、県境での検温まではしなかった。特徴的だったのは、東京や千葉に近い地域を対象にピンポイントで対策を打ち出したことだ。  病院や高齢者施設などでクラスター(感染者集団)が確認されるなど、感染者が急増していた4月2日。大井川和彦知事は会見で「恐れなければならないのは、首都圏からの感染の飛び火だ」と述べ、首都圏との往来が多いつくばエクスプレス(TX)、常磐線沿線の8市町と千葉県に隣接する神栖市の住民に限り、週末の終日と平日夜間の外出自粛を呼びかけた。  大井川氏は、首都圏との往来をきっかけに感染した人がクラスターの起点になった疑いがあると強調。この段階では首都圏にも緊急事態宣言が出ていなかったが、「予防的措置だ」と訴えた。  南北に長い茨城では、首都圏と行き来する人が住む地域が南部に偏る。県幹部は「まだ感染者が出ていない自治体も多い段階だった。全県に自粛を要請するのではなく対象を絞った対策が妥当だった」と説明する。(久保田一道)      ◇  栃木県は「科学的根拠を見いだせない」としてパチンコ業者への休業要請を、映画館など多くの業種とともに5月11日に解除した。パチンコ店については、群馬と茨城は5月下旬まで解除しなかったのとは対照的だった。  流入対策で注目されたパチンコ店への対応について、県は当初、パチンコ店をクラスター発生の恐れがある「代表格」とみていた。だが、全国で発生事例はでておらず、業界団体は休業要請を延長しないよう文書で求めていた。  特定警戒都道府県に指定されていた茨城や埼玉とも接していたため、県民からは、県に「栃木県だけが解除すれば県境を越えて客がやってくる」との不安の声が多く寄せられた。だが、福田富一知事は「残念ながら自粛を要請する根拠がない」として、5月5日に解除を表明した。  県は休業要請を解除した11日から1週間、170のパチンコ店のうち20店を業界団体「県遊技業協同組合」と一緒に巡回した。  「県外客お断り」の看板などでの周知や入店客の居住地確認状況を調べた。今も組合が独自に全店をパトロールしている。  一方、パチンコ業界には県が休業要請中に営業を続けたパチンコ店を公表したことへの不満がくすぶる。 同組合の金淳次理事長は「職業差別。『守らなかったらああなる』と見せしめにされ、袋だたきにされる怖さを感じた」と語った。  県民に対する安心の担保と、休業要請の科学的根拠を見いだす難しさが課題として残った。(池田拓哉)

朝日新聞社

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