卓球女子で20歳の大藤沙月が台頭 世界ランク125位→8位でロス五輪代表争いへ殴り込み
【ベテラン記者コラム】初めてのファイナルはちょっぴり悔しい結果になった。 卓球の世界ランキング上位選手で争うWTTファイナル(北九州市)に20歳のホープ、大藤沙月(ミキハウス)が初出場したが、シングルスは準々決勝で、同い年の横井咲桜(ミキハウス)と組んだダブルスは決勝で敗退。男女ともシングルスは16選手、ダブルスは8組しか出場できない最高峰の大会で「ダブルスは優勝を狙えるペアだと思うし、シングルスはベスト4に入りたい」と意気込んでいたが、届かなかった。 とはいえ、今年の急成長には目を見張るものがあり、一気に4年後のロサンゼルス五輪代表入りを狙える存在になった。 福井県大野市出身。3歳で父がコーチを務める大野クラブジュニアで卓球を始めた。「公文とピアノも3歳で始めたけど、いちばん楽しかったのが卓球だった」。大阪・四天王寺中・高時代から強豪ミキハウスを拠点に腕を磨き、2023年10月から世界選手権3度出場の坂本竜介コーチ(39)の指導を受け、急成長した。 「以前は完璧主義すぎて、ミスしたら落ち込んでいたけど、坂本コーチに『勉強になったと考えて』と言われて、嫌なことや悪いこともプラスに変えていくことができるようになった」 技術的にも、攻撃的なプレースタイルにチェンジした。1月の全日本選手権の6回戦で平野美宇(木下グループ)に0-4で完敗したのを機に、攻める卓球にしようとラケットもラバーも一新。1カ月ほどはひたすら強く振る練習に特化し、それを支える体力強化にも取り組んだ。 4月からWTTツアーに本格参戦すると、下部の「フィーダー」「コンテンダー」のシングルスでは出場した6大会すべて決勝に進み、優勝5度。10月には格の高い「チャンピオンズ」に早田ひな(日本生命)の欠場による繰り上がりで初出場。このチャンスをものにして、モンペリエ(フランス)大会では2回戦で平野、準々決勝で伊藤美誠(スターツ)、決勝で張本美和(木下アカデミー)を破って初優勝すると、フランクフルト(ドイツ)大会でも8強入りした。 4月9日付では125位だった世界ランキングも急上昇。わずか7カ月後の11月12日付では8位まで上がって伊藤を抜き、5位の早田、6位の張本に次ぐ日本勢3番手に浮上した。最新の11月26日付でも8位をキープしている。