直近3回のミサイル発射を報道せず “異例の事態”の背景にコロナ拡大? 金総書記の“マスク姿”に見える切迫感
これまで新型コロナウイルスの感染者はいないとしていた、まさに“ゼロコロナ”だった北朝鮮は12日、初めてオミクロン株の感染者を確認したと発表した。 【映像】北朝鮮コロナ拡大 異例の“内情”報道 「強い危機感・正恩氏の激怒」も明らかに 金正恩総書記は全地域の徹底封鎖を指示し、国家防疫体制を「最大非常防疫体系」へ移行。また、15日の会議では、自らが命じた医薬品の国家備蓄放出や薬局の24時間化が進まないことに怒りを爆発させ、「内閣と保健部門が危機を正しく認識せず、人民への献身精神が口先だけだからだ」と厳しく叱責したという。 北朝鮮の新型コロナを巡る状況について、ANNソウル支局の河村聡記者が伝える。 Q.北朝鮮の感染状況は? 北朝鮮メディアは12日、新型コロナのオミクロン株の感染者が確認されたと初めて公表した。12日の一日で1万8000人が新たに発熱。また、4月末から原因不明の熱病が爆発的に拡散し、発熱者は35万人、うち16万2200人は完治したとしている。これまでに約19万人が隔離・治療を受けていて、6人が死亡し、そのうち1人はオミクロン株の感染が確認されたということだ(13日時点)。 発表はあくまで「発熱者が出た」というもので、北朝鮮内部で検査体制がどうなっているかはわからない。ただ、発表のタイミングからみると、少なくとも新型コロナと関連付けて発熱者を見ていることは間違いないと思う。
13日に公開された映像で注目したいのが、金総書記がマスクを付けている姿。会場に入ってくる時にマスクを付けていて、しゃべっている時には外しているが、金総書記がマスクを付けている姿というのは初めて公開された。これまでは周りが付けていても最高指導者だけは付けないという姿勢を貫いていたが、ここにきて公開している。それだけ切迫感があることもわかるし、国民に感染対策を促す意図があるとみられている。 Q.医療体制はしっかりと整備されている? もちろん先進国のような医療体制は整っていない。さらに、新型コロナに関しては、ワクチンがほとんど入っていないのではないかとされている。国民全体の栄養状態も悪い中で、危機的な状況にあることは想像に難くないが、唯一の救いは、食糧不足が特に深刻な冬ではないことだ。 Q.ウイルスはどこから入ってきた? “ゼロコロナ”の自信のもととなっていたのが、徹底した国境封鎖。経済へのダメージは大きくなるが、徹底的に水際対策をしてきた。ただ、完全にこれをゼロにできるかというと、そうではない。今年の1月からは中国との貨物列車の行き来を再開しているように、どうしても国内だけではまかなえないものに関しては、外とのやりとりでなんとかしている。そういったところからウイルスが入り込んだと考えられる。