センバツ・札幌第一 第2部/中 勝利へのチーム作り 俊敏性高め仕上げ メニュー早めに切り替え /北海道
<第91回選抜高校野球> 札幌第一では、練習メニューを考えるのはマネジャーの仕事だ。 練習が始まる前、飯沢航マネジャー(2年)は監督からその日の練習の概要を聞き、それを具体的な形にしていく。選手たちが室内練習場でウオーミングアップをしている間、ホワイトボードにその日のメニューを書き込む。 昨夏の地区大会前に選手から転向した飯沢マネジャーは「初めは監督の考えていることと自分のメニューに差があり、指摘されることがよくあった」と振り返る。しかし、今では監督から言われたことだけではなく、仲間たちをよく見て自分で判断することも多いという。 ある日の午後4時半から午後7時までの練習メニューは、(1)アップ(2)バッティング(3)動的ストレッチ(4)プライオメトリクス(5)守備練習(6)素振り--だった。 プライオメトリクスは、瞬発力を高めるメニューの一つで、第一ではさまざまな種類のジャンプを取り入れている。選手たちは約20分間、休みなしでひたすらジャンプを繰り返す。歯を食いしばり、声を出して気合を入れながら、きつい練習にも手を抜かない。 動的ストレッチも同様に瞬発力や俊敏性を鍛えるためのトレーニングだ。 第一では例年、冬の間はゆっくりとした動きのトレーニングで、力をつけることをテーマとしてきた。公式試合が始まる春に向けて、少しずつ速い動きのトレーニングに切り替え、試合で使える筋肉の状態に仕上げていく。 しかし、今年はセンバツに出場するため、トレーニングの切り替え時期を約2カ月早めた。エースの野島丈投手(2年)は「冬に入ってすぐのトレーニングでは、連戦で投げても疲れないように下半身の力をつけた。12月ごろスクワットの時に付けていた重りは、今年に入ってから少しずつ軽くしている」と話す。 俊敏性を養うために、20メートルのシャトルランをメニューに取り入れることも。小玉和幸部長は「走る方向を切り替える俊敏性と、持久力を一緒に鍛えることができる」と説明する。また投手陣はスタミナをつけるため、練習時間内に学校の敷地で3キロ程度のクロスカントリースキーをすることもある。 トレーニング方法にさまざまな工夫を凝らしながら、一冬でさらなる力を身に着け、ナインたちは甲子園へと臨む。【土谷純一】