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「子連れ狼」の作画を担当した小島剛夕のアシスタントは全員女性だった【牛次郎 流れ流され80年】

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日刊ゲンダイDIGITAL

【牛次郎 流れ流され80年】#34  1970(昭和45)~76(同51)年まで「漫画アクション」(双葉社)に連載され、大ヒットしたのが「子連れ狼」だ。柳生一族に妻を殺されて江戸を脱出した元公儀介錯人・拝一刀が、乳母車に乗せた息子・大五郎と全国をさすらい、刺客でカネを稼ぎながら復讐を果たそうとする物語である。若山富三郎や萬屋錦之介ら当代随一のスターが主演した実写版も数多く制作され、パロディーやコントの題材にも使われてきた不朽の名作だ。  原作は牛次郎と同時代に活躍した小池一夫。作画は小島剛夕だ。 「小島さんも変わった人だったよ。小金井(東京都)の方だったかな、一度自宅まで遊びに行ったんだよ。驚いたのはアシスタントが全員、女性だったこと。好きなんだろうね、オンナが。オトコを置いておくと、部屋の雰囲気が良くないんだって言ってたよ。もっとも、だからといって、アシスタントに手を出すわけじゃない。非常に紳士だったね」  小島は若い頃、映画館の看板を描く仕事をしていたが、生年月日(1928年11月3日)がすべて同じ手塚治虫の「新宝島」を読み、自らも漫画家になる決意を固めたとされる。 「もちろん絵は飛び抜けてうまいんだけど、それを全部、筆で描いていた。一時は白土三平さんのアシスタントとして『サスケ』や『カムイ伝』の作画にも参加してたんだ。白土さんの作品は、どれも絵が素晴らしいんだけど、当たり前だよな。アシスタントだって超一流なんだからさ。熱海の家にも遊びに来てくれて、なんかやろうねって話してたんだけど、死んじまったよ。寂しいね」  白土三平(88)の作品には、多くの動物が登場する。「シートン動物記」を漫画化した作品も発表。自らも狩猟をし、捕獲した野生動物を食べてきたという。 「白土さんは上野動物園が好きで、門が開くのと同時にパッと入って、出ると門が閉まるんだって。つまり一日中いて、猿山を見てるんだよ。小島さんも最初は一緒に行ったらしいけど、『疲れちゃうから付き合いきれねえ』ってこぼしてたよ。それぐらい時間をかけてじっくりと見てるから、動物の絵がうまいんだろうね」  ある時、道端でぴょんぴょんと跳んでいるカエルを見つけた。 「急いでポケットからカメラを取り出して、飛び出す瞬間をカメラに収めようと構えたんだって。でも、カエルはゲロゲロ鳴くだけで跳ばない。待ちくたびれた頃に不意打ちでぴょんと跳んで、『あっ』ってシャッターを押したんだけど、うまく撮れなかった。今度こそって構えるんだけど、やっぱりタイミングが合わず『ああっ』って失敗して……。そんなことが続いた後で、またカエルが跳んだ。そしたら白土さん、今度はシャッターを押さずに自分も一緒に跳んじゃったんだって。小島さんは『あれはたまんなかったよ。こんな人と付き合ってきたのかって思って、すぐに独立したんだ』って話してた。まったく漫画家は面白いよ」  作家の三島由紀夫が絶賛したという漫画家も、かなりの変人だった。=敬称略(つづく) (取材・文=二口隆光/日刊ゲンダイ)

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