食もバイオも環境も 人気の農業高校は実力もすごい!
地域活性化に貢献する農業高校の取り組みは、食の分野に限りません。今年10月の第65回日本学校農業クラブ全国大会で、特産品の枇杷(びわ)と椎茸副産物の有効活用をテーマに食料と環境各プロジェクト部門の最優秀賞を受賞したのは、長崎県の島原農業高校。11月に行われた高校生による「バイオ甲子園2014」でも規格外枇杷の有効利用により、最優秀賞を受賞しています。高校生バイオ研究のエースともいえる同校が開発した「島農有機堆肥1号」は、堆肥から出る悪臭をエアポンプで吸い込み、水に溶かした液肥を水耕栽培の培養液として利用するもの。この技術を利用したプラントは校内で稼働しており、2004年には「環境に優しい堆肥化技術」として特許を取得しています。 以下、地域の課題への継続的な取り組みが評価された事例の数々を紹介します。 青森県の五所川原農林高校では、水田の地下にパイプを通し毛細管現象を利用して地上に農業用水を提供する仕組みを開発。水位を自在にコントロールして稲作と大豆栽培を1年ごとに行う「田畑輪作」を実現しています。連作障害を防ぎ、大豆の栽培により土中の窒素を増やして化学肥料を減らせるなどよいことずくめ。「化学肥料に頼らない持続可能な農業」として今年のコカ・コーラ環境教育賞次世代支援部門の最優秀賞を受賞しました。 山形県の置賜農業高校は、ワインの搾りかすを飼料に地鶏を育てるMOTTAINAIプロジェクトや、一人暮らしの高齢者宅に特産の紅大豆弁当を届ける紅大豆本舗プロジェクト、演劇部による食育ミュージカルなど、多様な地域活性化活動を続けています。継続的な取り組みが評価され、2012年度のサントリー地域文化賞を学校単位としては全国で初めて受賞。ほかにも同年の高校生環境活動全国大会環境大臣賞や2010年の高校生観光グランプリ、2009年のボランティアスピリット賞全国賞など多くの賞に輝いています。 学校・有志・NPO・企業による優れた気候変動対策を表彰する低炭素杯グランプリでは、今年、大分県の久珠農業高校が「バーク(杉の樹皮)を中心とした循環型農業の展開」で環境大臣賞学生活動部門の金賞を受賞。国内有数の杉林業地である日田久珠地域で大量に発生するバークを粉砕し、堆肥や土壌改良剤として活用する技術は、地域の課題解決に道筋をつけたと評価されました。 一昨年と昨年の同杯で、2年連続の環境大臣賞グランプリに輝いたのは栃木農業高校。2013年は地域特産の麻を土壁や断熱材などに活用する方法を発表、12年は渡良瀬遊水地のヨシ原保護を訴え、ヨシズ作りや倒れたヨシの堆肥化を提案。その技術は足尾銅山の植林やイチゴ農家の土壌改良などに活用されています。