『もしイケ』に漂う00年代ドラマの雰囲気 細田佳央太のカメレオン俳優ぶりに期待
毎週土曜に放送される新ドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』(テレビ朝日系)。通う男子生徒が全員“イケメン”という私立美南学園を舞台に、“フツメン”の主人公・池田龍馬(細田佳央太)が入学する。第1話冒頭では、通学中あらゆる場面で女子生徒から黄色い声をかけられる生徒たちの様子が描かれ、まるで2000年代のドラマを彷彿とさせる懐かしさを感じる。そう、思い出されたのは『花より男子』(TBS系)、そして『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(フジテレビ系)だ。本作は多くの点で、特に『花ざかり~』に近いバイブがある。 【写真】細田佳央太の素敵すぎる笑顔 神格化されたイケメン高校生たちと、それを隠すことなく「かっこいい~!」と黄色い声を上げるファンガールたちが側にいる図。入学式の校長先生のお言葉しかり、このご時世で作るにはパンチのあるテーマを扱っていることは確かだ。仕掛け人は、秋元康。一応、“多様性が求められる今の時代に本当のカッコよさや本当のイケメンとは何かという問題に直面しながらも、突き進んでいく高校生たちの姿を描く”ということらしいので、今後ドラマ内で紹介されてきた生徒たちの内面に焦点が当てられていくことにも期待したい。 さて、そんな本作で主役を演じる細田は、なんと本作がドラマ初主演作品となる。2014年に『もういちど 家族落語』(2014年)で俳優デビューを果たした彼は、その後2019年に公開された『町田くんの世界』で主演に大抜擢され、知名度を一気に上げた。 そこからテレビドラマや映画への出演を重ねるが、彼が本当に飛躍したのは2021年のこと。映画は『花束みたいな恋をした』をはじめ『青葉家のテーブル』や『子供はわかってあげない』に出演。そして何より『ドラゴン桜』(TBS系)や『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系)などの地上波ドラマへの出演で存在感を高めたものだ。月9『イチケイのカラス』(フジテレビ系)にも1話のみのゲスト出演ながら、強い印象を残していた。 細田の俳優としての特徴は、“変幻自在”であることだ。男性はよく髪型が違うだけで別人のように見える、というが彼に関しては毎回の役ごとに“顔も違う”。『町田くんの世界』では、普通そうに見えて少し変わっている町田くんを好演したが、昨年のドラマでは発達障害からくる学習障害に悩む生徒や、生まれたときから全盲の生徒と演じるには難しい役柄に立て続けに挑戦した。さらに彼は過酷な役作りも厭わず、『ドラゴン桜』の時には12キロほど増量し、地毛を坊主にした。 デビュー当時からその高い演技力が評価されてきた細田だが、以前、彼が主演を務めたNUMAイヤードラマ『脱出カプセル』のインタビューにて、その役作りについて伺うと「当然、体に何かを抱えている役をやるときはそれについて絶対調べます」と話しながら、「僕だけがやっているような特別なことはしていない」と謙虚に語っていた(参照:細田佳央太「“一生懸命にやる”はブレずに」 役作りへのスタンスとブレイク後の心境を語る)。 そんな彼も、つい先日の成人式で20歳になったまだまだ若手の俳優。同じ代には朝ドラ『おかえりモネ』(NHK総合)でブレイクした清原果耶や、森七菜、生見愛瑠、板垣李光人、池崎理人、平手友梨奈と演技派が勢揃い。言ってしまえば、『もしも、イケメンだけの高校があったら』もまた、ネクストブレイクの予感がする期待の俳優を見つけるのにぴったりな作品だ。『花ざかり~』も、結果的に多くのブレイク俳優を輩出したドラマである。そのなかで、ドラマの推進力となる細田がこれからの展開でどのような“顔”を見せてくれるのかにも期待したい。
ANAIS