103万円の壁「壁は何万円に引き上げるのが正解か?」条件と指標でまるで違う「壁の正解」を試算!!国民・玉木代表は最低賃金1.73倍を主張 物価上昇率なら1.1倍 でも食料上昇率なら1.36倍
「103万円の壁」をめぐる様々な意見。手取り増とされるいっぽう、自治体からは税収減と住民サービスの不安、という試算も出ています。また国民民主党の玉木代表からは「税金は余っている」との声も。大和総研の是枝俊悟主任研究員への取材をもとに、「壁を何万円に引き上げるのが正解か。」考え方の一例を示してもらいました。 【解説を見る】手取りが増えて地方税収も減らないような、適切な「壁のライン」とは?
◆103万円の壁 まずは「課税の壁」
「103万円の壁」その一つ目は「課税の壁」です。103万円を超えたら税金がかかるというもので、これは年収100~105万円の人だけでなく、年収300万円の人も1000万円の人にも関わることです。もし、壁が178万円にアップしたら年収ごとの減税額は以下のようになるとされてます。 年収200万円 減税額8.6万円 年収の4.3% 年収300万円 減税額11.3万円 年収の3.8% 年収500万円 減税額13.2万円 年収の2.6% 年収800万円 減税額22.8万円 年収の2.9% 年収1000万円 減税額22.8万円 年収の2.3% 収入の少ない人ほど、減税の割合が高くなっていますので、そういう意味で公平性があるという意見もありますし、実質、得してるのは高収入者だ、という意見もありますが、多くの人に関わる話です。
◆103万円の壁 もうひとつは「扶養の壁」
もう一つの壁が「扶養の壁」です。年収103万円未満は税制上は扶養で、それを超えると扶養から外れます。この額が結構大きくて、例えば子供が年収103万円を超えるアルバイトなどをするようになった場合、年収500万円くらいの会社員のお父さんは扶養控除がなくなり、税負担が増加します。その額は平均的には年間10.8万円ぐらいと試算されています。 いっぽう、配偶者(例えば妻)がパートで働くケースもあると思いますが、配偶者は103万円を超えても150万円まで扶養対象に入るという配偶者特別控除があるので、働き控えするとしたらそこの壁なんですが、実際は、壁を越えても控除額に段差があり、ガクンと変わるわけではないので、そこに対する働き控え対策はとられているともいえます。 さらに、106万円・130万円といった、国民年金や厚生年金、いわゆる社会保険料を払わなきゃいけないという壁もあります。そのため壁を引き上げるとしても、社会保険料側も合わせて考えましょうという議論も出てきています。