お風呂で死なないための<命を守る入浴法>「高齢者はとくに注意して」と専門家
朝晩グッと冷え込み、寒さが身に染みる。そんな冬場にとくに多いのが入浴中の事故だ。お風呂で命を落とさないために、どんなことを気をつければいいのだろうか。これまで女性セブンで掲載した記事から専門家が提唱する「安全なお風呂の入り方」について、ピックアップしてお届けする。
教えてくれた人
早坂信哉さん/東京都市大学人間科学部学部長・教授。温泉療法専門医 前田眞治さん/国際医療福祉大学教授
風呂に入ってはいけない5つのタイミング
溺死、転倒にかかわらず、浴室の死亡事故が発生するのは午後6時~午前3時の間が多い。だが、東京都市大学人間科学部学部長・教授で温泉療法専門医の早坂信哉さんは「夜の時間帯に入浴する人が多いだけ」と語る。 「むしろ、風呂に入るのを避けた方がいい時間帯は『朝』。ホルモンと自律神経の影響で血圧が変化しやすいだけでなく、血中の水分量も少なくなっている。一日の中で最も浴室での事故が起きやすい時間帯だといえます」(早坂さん) 飲酒時に風呂に入ってはいけないといわれるのは、アルコールを摂取すると血管が拡張し、血圧が下がりやすいから。同様に、食後は血液が胃腸に集まっていて血圧が下がりやすいため、食べてすぐの入浴も避けてほしい。国際医療福祉大学大学院教授で、温熱医学などを専門にしている前田眞治(まさはる)さんが言う。 「食後だけでなく、空腹時の入浴も危険です。低血糖状態のときは、脳などの中枢神経がエネルギー不足なので、意識障害を起こしやすい。食事の前後30分間は入浴を控えてください。また、運動の直後も要注意。体温が上がって自律神経が乱れているため、血圧のコントロールが利きにくくなっています」(前田さん・以下同) ・風呂に入るのを避けた方がいい時間帯は『朝』・飲酒時に風呂に入ってはいけない・食べてすぐの入浴も避けてほしい・空腹時の入浴も危険・食事の前後30分間は入浴を控えて
「命を守る入浴」の5つの掟
◆浴室内・脱衣所・温度を20℃以上に保つ。・風呂場の床や湯船の底に転倒防止テープを張る。・可能なら、湯船の近くに手すりを設置する。 ◆時間帯・朝、食事の前後30分間、飲酒時、スポーツの直後はできるだけ避ける。 ◆入浴前・タオルは2枚用意しておく。・コップ1~2杯の水を飲んでおく。・下着や肌着など、最後の1枚は風呂場の中で脱ぐ。・床や壁にシャワーでお湯をかけて浴室を暖め、手先・足先から3~5回かけ湯をする。 ◆入浴時~入浴後・湯船の温度は40℃以下にし、できれば入浴剤を入れる。熱いお湯が好きなら、湯船に浸かった状態で少しずつ温度を上げる。・湯船に浸かるのは10分以内にとどめ、汗ばんだら上がる。・浴室内で体を拭いてから脱衣所に出る。 ◆緊急時・具合が悪くなったらゆっくり立ち上がり、脱衣所に出て水分を摂る。・立ち上がれそうになければ、湯船の栓を抜く。