神巧也、ファーストで戦う意義「卓球業界に風穴を開けたい」
今夏から、ドイツ・ブンデスリーガでプレーする神巧也(ファースト)。 その前に、ファースト所属選手として挑む、日本での全日本実業団選手権大会に照準を絞っている。 【写真】神巧也(ファースト)
かつてのファーストの印象
――今年、ファースト所属として全日本実業団を戦う神選手ですが、かつてシチズン時計に所属していた頃、ファーストというのはどういう印象のチームでしたか。 神巧也:どこのチームより、プレッシャーがあるチームでしたね。岸川(聖也)さんがいて、当時は、吉村真晴がいて大島祐哉がいて。圧があって、対戦するのは嫌なチームでした(笑)。 ――所属してみてから印象は変わりましたか。 神巧也:チームに入ると、やっぱり浜野社長の卓球に対する情熱、愛情を間近で感じることができるので、その思いに応えたいという気持ちになります。 ――岸川さんはじめ、かつて所属したT.T彩たまや青森山田時代の同志たちも多いですね。 神巧也:ファーストの門を叩くのは“初めまして”だったんですが、入ってみたら馴染みのメンバーばかりで(笑)、ストレスは全くないです。
背景がそれぞれ違うメンバーだからこそ
――神さんは、チーム戦に燃えるイメージがあります。 神巧也:もちろんです。特に、今回はみんなそれぞれ背景が違うんです。 僕はずっとプロ選手としてやってきて、夏からドイツに行く前に日本でチャンスをもらえた。 例えば、大矢(英俊)さんなら、ファーストの社員としてコーチ業をやりながら現役選手としてもチャレンジしている。コーチをしながらも現役でも全国でまだまだやれる、そんな姿をこのチームで体現できれば、卓球業界に風穴を開けられるんじゃないかって思っています。 そういう人たちと一緒に戦って、勝ちたい。 みんなそれぞれ違う点と点なんですけど、向かう方向は一緒なので楽しいです。
ファースト卓球部であることの使命
――中堅世代の選手が多いファーストですが、浜野社長が、選手のステージが変わるときにサポートができる場所でありたいと言っていました。 神巧也:例えば、僕は今年30歳の年です。Tリーグができる前だったら、30歳近くなったら選手を辞めて会社に入って、というのが主流でした。 いま、Tリーグができて、独立する人も増えましたが、でも勝負の世界なので、やっぱりやれるのは一握りの選手です。 かつて僕が会社を辞めてプロに挑戦したとき“いかにこれまで会社に守られてきたか”を感じました。独立すると、来年のこともわからない。 ――そうですね。 神巧也:僕はそれを実感してきたので、一企業が、卓球に情熱と愛情をかけて、こんなにも選手をサポートしてくれて、というのは本当にありがたいと思っています。 まずは僕らが活躍して、卓球スクールを含めファーストの卓球事業を成功させることが、僕らの使命だと思っています。 それを見て“ファーストみたいなやり方いいね”って思ってくれる企業が一つでも二つでも出てくれば、卓球選手の雇用も増えるし、日本の卓球界に良い刺激が与えられると思うので、そういうふうになってくれたら嬉しいなと思います。