物価上昇圧力再燃リスクを市場は軽視、米CPIが試金石に-BofA
(ブルームバーグ): インフレとの闘いにはほぼ勝利したかもしれないが、物価上昇圧力に対する懸念は依然として利下げ期待を揺るがす可能性がある。だが、株式市場はこうした警告を無視しているように見える。
株式市場は現在、底堅い景気、インフレ率低下、利下げという「ゴルディロックス(適温相場)」的な状況で好調を維持している。しかし、物価の動きには懸念すべき兆候も見られ、リフレを狙う拡張的な財政政策は、金融緩和サイクルにリスクをもたらす可能性がある。加えて、トランプ次期政権がちらつかせる関税導入は、来年のインフレ予測を押し上げる恐れがある。
市場は当面、11日に発表される米国の消費者物価指数(CPI)に注目している。
この発表を控え、投資家は悲観的な見方をしているようで、S&P500指数のオプション市場では、45ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の変動が示唆されている。ブルームバーグの計算によると、この見通しは、過去1年間の平均実現変動幅である71bpを下回る。
ゴンザロ・アシス氏らバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは「市場はCPIリスクを過小評価しているが、私たちは今回、CPIがいつになく重要になると考えている」
ストラテジストらは、2月以来、CPIの発表日には市場の反応が鈍く、その代わりに成長見通しに注目が集まっていると指摘する。しかし、経済に対する懸念が和らいだ一方で、市場予想に対するインフレ動向を示すブルームバーグの指数は、直近のデータで5月以降最も上振れ方向に傾いている。
このため、今月最大のリスク要因は、インフレ統計と連邦公開市場委員会(FOMC)になるとみられる。もし11日にCPIが落ち着いた数値を示せば、年末の上昇相場へと道を開く可能性がある。12月は通常、1年で2番目に株価が上昇する時期だ。一方、CPIが上昇すれば、ボラティリティーが再燃する可能性があると、BofAは指摘している。