「東大と吉本が組む」不思議な組み合わせの狙い。地方にどう貢献するか、笑いと頭脳で取り組む
また、この日のイベントについては「子どもたちはガチンコでチャレンジしている。そういうほうが子どもたちにとってもいい経験になります。東大生と芸人と、頭脳で対決できることはなかなかない。今回の枠組みの謎解きクイズ企画をフォーマット化して、いろいろな地域で展開していくことへの可能性を感じています」と語った。 一方、会場内で1日中参加者に囲まれながら、一緒に謎解きクイズに挑戦していた青木マッチョは「謎解きの問題が、東大生のクオリティだったり、芸人らしい変化球があったり、出題したそれぞれの芸人だから出せる問題だったりして、それがうまく噛み合って成功したイベントだと思います」と振り返る。
「別府には旅行で来たことはあったのですが、温泉から食事、公園まですみずみまでしっかり楽しんで、みなさんとも触れ合えるイベントを通して、自分の地元より別府が好きになりました(笑)。僕にとっても最高のイベントでした。またすぐに戻ってきたいです」 別府市の魅力は、芸人と東大生だけでなく、市外からの参加者にもしっかり伝わっていたに違いない。 ■単発の成果をどうつなげていくか 「2024別府市福祉まつり」の一部として行われた今回の謎解きイベントだが、いままさに旬の芸人・青木マッチョの呼びかけで市内外から多くの参加者が訪れ、祭り全体は大盛況で終わった。
人気芸人が入り口となったことで、本イベントがお祭りの地域経済振興の一翼を担ったことは間違いない。こうした単発の成果を、いかに地域に根付くイベントや行事として、定常的な文化に育てていくかがこれからの課題だろう。 東大と吉本興業がまいた種を、自治体がどう大きく育てていくか。それこそ自立自走に向けた地域活性化の取り組みの本筋であり、そこに再び東大と吉本興業が関わることもあるのかもしれない。 ■この先のイベントの拡張も視野
東大と吉本興業による「体験活動プログラム」のひとつであり、昨年スタートした「芸人×東大生 特別授業 in 周防大島」(関連記事:東大生と芸人考案「離島の小学校で授業」その狙い)は、地元の高い評価と強い要望を受けて、今年2回目が行われた。本プログラムからは、こうした長期的な取り組みへとつながりそうな動きも生まれている。 岡本社長は、今回の謎解きイベントのこの先の拡張にも言及している。そこには、単発だけでなく、長期的な展開による各地域をつなぐ包括的振興も視野に入っているのかもしれない。本イベントと別府市のこれからに注目していきたい。
武井 保之 :ライター