「東大と吉本が組む」不思議な組み合わせの狙い。地方にどう貢献するか、笑いと頭脳で取り組む
今回のイベントに携わる東大生6人は、芸人、吉本興業スタッフとともに、約3カ月をかけて地元自治体とやりとりをしながら準備を進めてきた。 その学生たちの活動を津田副学長は「市民のための楽しめるイベントを考える過程から、市政やエンターテインメント業界を知る入り口になってくれればいい。そこから彼らが何を学ぶかは、人それぞれバラエティがあっていいと思っています。大学としては、いろいろな経験をしてくださいという意図です」と語る。
そして、本プログラムを含め、東大生が地域社会の課題の解決に自治体とともに取り組むことを、積極的に推奨すると話す。 「地域社会には、高齢化、過疎化、空き家問題、産業空洞化などさまざまな課題があります。その解決は簡単ではないけれど、いま日本が直面する問題を知って、自分だったらそこでどうするかを考えることが大事。1年間のプロジェクト期間で解決できなくても、その後の人生のなかで彼らがそれを考えていくことは重要だし、関係人口という意味でもつながり続けていくことに意義があります」
■東大生が参加した理由 初めて「体験活動プログラム」に参加した、東京大学文学部社会学修士課程1年生の大和果鈴さんは、謎解きクイズが好きなことと、イベントや広告関連の職種を志望していることから「自分にピッタリだと思って参加しました」と話した。 今回の課外授業からの学びを聞くと「芸人さんの力添えがあったからこそ、私たち東大生が考えた謎解きクイズがエンターテインメント色の強いたくさんの人に楽しんでもらえるイベントになったと思います。楽しさとはどう演出するのか、どういうふうに人に楽しんでもらえるのか、という部分でとても勉強になりました」と3カ月間の協業を笑顔で振り返り、また次も参加したいと語ってくれた。
学生にとって、貴重な社会経験の場になったことがうかがえる。そこには、ここでしか得られない学びと成長があったようだ。 「笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト」で学術とエンターテインメントの積極的な協働を進める吉本興業。 今回のプログラムを含めたこれまでの3年間の取り組みについて、吉本興業ホールディングス代表取締役社長の岡本昭彦氏は、こう語る。 「こうしたプロジェクトを地域社会で実施するのが、いまどきの取り組みのあり方であり、持続可能な社会を一緒に目指すためのプログラムとして意義があるのではないでしょうか。今回のような地域イベントを東大生のみなさんと一緒に実施することで、芸人も会社も勉強させていただいています」