「東大と吉本が組む」不思議な組み合わせの狙い。地方にどう貢献するか、笑いと頭脳で取り組む
別府市ほどの知名度の高い街であっても、定住人口を増やすことは現実的にはなかなか難しい。そんな状況を認識しつつ、長野市長は「別府市は人口減少時代の幸せな街のロールモデルになれると考えています」と語る。 「ウェルビーイングとエンターテインメントをかけ合わせることで、いままでにない総合エンターテインメントの街になって、交流振興を図りたい。別府といえば、昔ながらの温泉街だけでなく、洗練されたエンターテインメントの街というブランディングを若い人たちに向けて仕掛けていきます。
いろいろな地域を巡ってきた人が、ひとつの拠点として別府市を選ぶ。そんなフックを作っていきたい。また、今回のような取り組みによって、地元の人たちと外から来た人が一緒に幸せを感じれば、もしかしたら人口を増やすことができるかもしれないですよね」 ■東大生が社会課題の解決に取り組む意義 一方、東大生のキャンパス外の学びの場となる「体験活動プログラム」は、国内外を問わず、社会貢献活動や国際交流、地域体験、企業提携など幅広い取り組みを実施しており、今年だけで国内60本、海外24本ほどある。そのなかでエンターテインメントに関わるものは、吉本興業とのプロジェクトのみだ。
多種多様なプログラムを実施してきたなかでも、東大生が地方創生を掲げる謎解きイベントの企画から運営まで芸人と協力して行うのは、今回が初めての試みだ。 東京大学の理事・副学長の津田敦氏は、吉本興業のプログラムについて「学生からとても人気があります」と話す。 「われわれが考える以上に、学生にとってエンターテインメントは身近なんです。今回のお笑いと謎解きクイズもそうですが、大学には音楽やコスプレなどのサークルがたくさんあって、社会に出てからそうした趣味嗜好とどういう形で付き合っていくかは人によって異なるでしょう。自分自身の1つのスキルにしたいと考える学生は結構多い気がします」