異例ずくめの新日本プロレス東京ドーム大会 静寂の中、オカダ、棚橋、内藤抜きの“挑戦”ができたワケ
毎年恒例で、今年じつに29回目を迎えた新日本プロレスの新春東京ドーム大会。昨年に続き、1月4日と5日、イッテンヨン、イッテンゴの2日連続開催となった今回は、異例ずくめの大会となった。 【この記事の写真】飯伏幸太の肉体がたくましい 東京ドームは観客制限でも大迫力! その要因となったのは、もちろん新型コロナウイルスの感染拡大だ。ドームのチケットを発売開始した時点では、観客数の上限は収容人数の50%に設定されていたが、昨年末になって政府は再びイベントの観客数上限を5000人に変更。すでに販売済みチケットのキャンセルこそ求められなかったものの、新規販売で上限を超えないよう自粛要請を受けたため、新日本は12月29日で前売り券の販売を終了。当日券の販売も見送った。 また、この感染拡大を受けて、ドームでの生観戦はあきらめて、テレビや新日本プロレスワールドでの生配信による観戦に切り替えたファンも数多くいたことだろう。
プロレスの東京ドーム大会史上最少を記録
そして会場を訪れたファンも、消毒と検温、コロナ情報追跡システム「TOKYO DOME ALERT」への登録など、感染予防策を行った上で入場し、試合中の声を出しての応援は自粛。選手への応援は、拍手や手拍子、足踏みなどにかぎられた。 その結果、観客数は初日の1.4が1万2689人、2日目の1.5は7801人と、プロレスの東京ドーム大会史上最少を記録。会場の雰囲気も、広いドームに歓声はほぼなく、拍手のみが響き、時には静寂が訪れる異例のものとなった。 このような客観的な事実のみを記すと、なんとも寂しいドーム大会だったように思えてしまうが、テレビや配信を含め、今大会を観戦したファンの評判はすこぶるいい。 それはもちろん、レスラーたちの奮闘ぶりがファンに届いた結果でもあるが、このコロナ禍における新日本プロレスの前向きな姿勢が功を奏したように思う。
オカダ、棚橋、内藤のビッグ3抜きで
今回のドーム大会は、1.4が(第0試合を含めて)全7試合、1.5が全8試合と、例年と比べて試合数をしぼってきた。それによって、個々の試合のクオリティが高まる結果となった。 また初日のメインイベントであるIWGPヘビー級&インターコンチネンタル選手権で、王者・内藤哲也が飯伏幸太に敗れたこともあり、1.5はオカダ・カズチカ、棚橋弘至、内藤哲也という新日本の、いや日本マット界を代表するビッグ3抜きでのドーム興行という、じつにチャレンジングなマッチアップとなった。 これはコロナ禍だからこその実験であったように思う。 それは『週刊プロレス No.2101』に掲載された、新日本プロレスと女子プロレス「スターダム」のオーナーである木谷高明ブシロード代表取締役会長のインタビューでも垣間見られた。