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大塚康生氏が描いた『カリオストロの城』のクルマたち。原点はメカに魅了された少年時代

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マグミクス

初めての大人志向アニメ『ルパン三世』で実車を描く

 日本初のカラー長編アニメ映画とされる『白蛇伝』をはじめ、『ルパン三世』『未来少年コナン』など、アニメーター・作画監督として多くの名作アニメを手がけてきた大塚康生さんが、2020年7月11日に89歳の誕生日を迎えました。7月31日(金)には、自身の仕事の集大成となる画集『大塚康生画集「ルパン三世」と車と機関車と』が全国発売されています。 【画像】ジープに戦車、ミニ四駆も…大塚康生氏の描いた乗り物たち(10枚)  大塚さんは、テレビシリーズ『ルパン三世』PART1(1971~72年放映)で、ルパンの愛車としてメルセデス・ベンツSSK、フィアット500などの名車を登場させ、視聴者を驚かせました。 『ルパン三世』は、日本で初めての「大人志向のアニメ」として企画された作品。実在する自動車を作品中に詳細に描くことなど、アニメ界、マンガ界の常識としては考えられなかった時代のことです。珍しい外国製の自動車の登場と、リアルなメカニック描写は視聴者に大きな衝撃を与えました。  発売された『大塚康生画集』では、テレビシリーズ『ルパン三世』PART1で演出を手がけた、おおすみ正秋氏が「アニメーション・リアリズム」にこだわった制作の裏話を公開。また、劇場アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年公開)で大塚康生さんが描いたフィアット500、シトロエン2CV、ゼニガタ・ブルーバードなどの設定画など、『ルパン三世』ファンにとって貴重な資料が収録されていますが、同時に大塚さんの仕事の「原点」も見ることができます。

メカニック描写の原点は、蒸気機関車と軍用車

『ルパン三世 カリオストロの城』では、フィアット500の躍動感あふれる疾走シーンが有名です。メカニックの知識を生かした描写が秀逸な大塚康生さんは、「乗り物メカを描かせたら右に出る者がいない」といわれるほどです。  小学生の頃、故郷の島根県津和野町で初めて蒸気機関車(SL)を目にしてから、大塚康生さんはあらゆる蒸気機関車をスケッチするようになったといいます。その過程で蒸気機関車という巨大な機械が動くメカニズムを学んだというのです。  SLへの情熱は青年になっても続き、カメラを入手して全国各地に撮影の旅をしています。元祖「鉄道オタク」ともいうべき大塚さんですが、そのスケッチや写真は昭和初期の鉄道史を語る貴重な資料としても、高く評価されています。  大塚康生さんが蒸気機関車の次に夢中になったのは、終戦直後にやって来た進駐軍の軍用車輌でした。ジープや、輸送のための巨大なトラックの数々。その機能美の虜となった大塚少年は、目を見張ってスケッチに明け暮れました。 『大塚康生画集』に収録されている、14歳から18歳までに描いた車のスケッチは、進駐軍兵士にもらった万年筆で描かれたもの。少年の手によるものとは思えぬ、鋭い観察眼と緻密なタッチで描かれています。

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