慶應大卒も転落人生、年収ゼロの40代になった理由
難関大学を卒業し“高学歴”という肩書を得たにもかかわらず年収300万円という低収入に陥っている人がいる。彼らはなぜエリート街道から外れてしまったのか。慶應大卒も、現在年収0万円の40代男性を取材。言うに言えぬ低収入の理由とは? ⇒【写真】慶應大生だった証、図書館の入館券
付属校上がりのコミュ力不足で企業に馴染めず、うまく働けない
付属高校からの内部進学で慶應義塾大学に入った松田博己さん(仮名・43歳)が、社会に出たのは28歳。大幅に卒業が遅れたのは、私立小中学校に通っていた頃の体験が原因だという。 「勉強はできるけど、周囲とうまく話ができない子供だったので、ひどくいじめられたんです。そのせいで高校に入った頃には、対人恐怖症や周囲の視線が怖いなどの症状が出て、メンタルはボロボロ。なんとか3年で卒業したんですが、大学にエスカレーター入学した直後に休学申請をして、引きこもり生活に入ってしまいました」 休学中は黎明期のインターネットに没頭し、昼夜逆転の生活を続けていたとか。だが、そんな廃人暮らしも3年目で転機を迎える。 「高校時代の同級生が就職活動を始めているのを見て焦り、復学しました。その後は2回留年しつつもなんとか卒業できたんです。ようやく真人間になれたという実感とともに自信がつきましたね」
ベンチャー企業で取締役。だが現実は甘くなかった
そんな彼に声をかけてきたのは、大学の年下のクラスメートだった。 「彼が立ち上げたベンチャー企業の創業メンバーに誘われました。一般企業で上司のプレッシャーを受けながら働くより、ベンチャーの自由なイメージに惹かれたんです。 取締役で待遇されたのも大きなポイントで、もう社会人5年目になって社会的地位を上げている高校の同級生たちに、一気に追いつけるという読みもありました」 しかし現実は甘くない。社長はパワハラ体質なうえ、ストックオプションをエサに無給労働の日々。コミュ障ゆえ、結局1年弱で退職。 その後は数年にわたって税理士試験に挑むも志半ばで挫折した。
現在は投資家
現在は親からわずかな仕送りを受けながら、株式投資に精を出している。 「投資を始めたことで徐々に自信を取り戻しつつあります。同級生と会う機会があっても『投資家』と名乗れるし、『おたくの会社の株、買ってるよ』とマウントも取れますからね!」 しかし、現在の収入は0円……。 暖房が苦手で真冬でも家で手袋をはめ、厚着をして過ごす。それを「自分を鍛えるため」と胸を張る。勉強好きなので大量に本を読むが、節約のため購入せず、すべて図書館から借りているという。 人と接しない生き方を選んだ結果はどうなるのだろうか。 <取材・文/山田剛志(清談社)> ―[高学歴貧困の末路]―
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