かつては食用、貴重なタンパク源だった 巨大カタツムリと巨大タニシのいま
飽食の時代到来とともに、お役御免となった有害外来生物
アフリカマイマイもスクミリンゴガイも、食糧が不足する時代に、効率的に増殖できるタンパク源として期待され、人の手によって導入が繰り返されてきた生物であり、どちらも飽食の時代到来とともに、お役御免の有害外来生物と化しました。 今でも、これらの貝類を食べようと思えば食べることはできそうですが、もし食べるとすれば、注意しなくてはならないのが寄生虫のリスクです。両種とも、人間に感染し得る「広東住血線虫」という寄生虫を保有します。寄生しているアフリカマイマイやスミリンゴガイを触った手で、そのまま口に触れたり、食事をしたりすると、この寄生虫が、人間の口から体内に侵入します。寄生虫は中枢神経に移動して、脳内にまで到達する場合があります。その結果、脳脊髄膜炎が引き起こされ、最悪、死に至ります。また、直接触っていなくても、アフリカマイマイが這った跡のある農作物を食べただけも感染します。 これまでに南西諸島や小笠原に生息するアフリカマイマイ、および沖縄に生息するスクミリンゴガイからこの寄生虫が検出されています。従って、野外でこれらの外来巻貝類をみかけても安易に素手で触ることは避けるべきです。当然食べるときも十分な加熱が必要とされます。 【連載】終わりなき外来種の侵入との闘い(国立研究開発法人国立環境研究所・侵入生物研究チーム 五箇公一)