『ラストマン』編成Pが最終話のキーパーソンを明かす「全ての真実を知っている人」
福山雅治が主演を務め、大泉洋が共演する日曜劇場「ラストマン-全盲の捜査官-」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)。同作は、全盲の人たらしFBI捜査官・皆実広見(福山)と犯人逮捕のためには手段を選ばない孤高の刑事・護道心太朗(大泉)がバディを組み、難事件に挑む姿を1話完結で描く新時代の痛快なバディドラマだ。(以下、9話のネタバレを含みます) 【写真】今田美桜“吾妻”を横目で見る永瀬廉“泉”(ほか写真25枚) ■最終回直前で“波乱の展開”に 6月18日に放送された第9話は、世帯平均視聴率が12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。皆実、心太朗らが41年前の事件の真相に迫る中、同じく事件の捜査にあたっていた泉(永瀬廉)が、41年前の事件の第一発見者である元捜査一課長・山藤(金田明夫)に刺され、心肺停止する…という物語が描かれ、6月25日(日)の最終話放送を前に波乱の展開を見せている。 東仲恵吾編成プロデューサーにインタビューを実施し、福山&大泉の撮影シーンの裏話や最終話のキーパーソンや見どころ、今後の泉と吾妻(今田美桜)についてなど、話を聞いた。 ■人と人が助け合って生きる社会を描きたい ――改めて、この作品を作ることになった経緯、今作を通して伝えたいメッセージを教えてください。 もともと障がいがハンディキャップではなく、一つの個性であるということを全体のテーマにしてドラマを作りたいと思っていたのですが、視覚に障がいのある主人公が我々と何も変わらずに過ごす姿を描く上で、全盲の捜査官がさまざまな事件の捜査にあたるというのは、一つのテーマとして良いなと思ったので、この設定を考えました。 もう一つ、多様性がうたわれる社会の中で、人と人が助け合って生きる社会を描きたいなということもテーマとしてあります。個性を持った人たちが多様性に寛容である社会で生活していけるような世の中になっていってほしいという願いを込めて、主人公が人を助け、人から助けられながら過ごしていく姿を描いています。 ――脚本の黒岩勉さんは、「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(2021年)や「マイファミリー」(2022年)など、数多くの話題作を手掛けていますが、今作で黒岩さんとご一緒された感想を教えてください。 黒岩さんは、今の時代に何をテーマとして取り上げるか、何を通してメッセージを伝えるかということについて信念が強く、ドラマの題材を多くの人に分かりやすく見てもらうには、どのようにエンターテインメントに昇華すればよいかということを常に考えて絞り出してくださる方です。社会の良い面と悪い面をむき出しにしたような事件をあえて扱っているので、ストレートに見せるにはつらい部分もたくさんあるのですが、それを黒岩さんがエンターテインメントという枠でうまく包んでくださっています。 ――SNSでは、福山さんと大泉さんが演じるバディに絶賛の声が集まっていますが、東仲さんは、お二人のお芝居をどのように感じられましたか? 撮影に入る前から、お二人がこの役を演じてくださることが楽しみでしたし、大きな期待感を持っていたのですが、お二人はどんどん役を膨らませて立体的にしてくださって、期待を超えるお芝居を演じてくださいました。黒岩さんと脚本を作る上で、役者としてもエンターテイナーとしてもトップクラスのお二人なら、ある程度の形を作れば息の合うお芝居を演じてくださるだろうという思いがあったので、最初の段階ではそこまでコメディーに振っていませんでした。お二人の丁々発止を楽しみつつ、そこにひとさじの抜ける要素みたいなのを入れて、あとはお二人がどう演じていくかということに期待を込めて作りました。 ――現場では、どのように皆実と心太朗の関係性を作っていったのでしょうか? お二人は、ここだったらこういうふうになるからこう演じようなどとお話ししながら、皆実と心太朗のキャラクターをとても立体的にしてくださり、想像以上のバディ感を構築してくださったなと思っています。撮影に入る前に3話くらいまでの脚本はあげていましたが、4話、5話ぐらいからは現場でお二人が演じていらっしゃる姿やキャラクターを、僕が逐一黒岩さんにフィードバックしながらアジャストしていったという印象があります。 ――お二人は、他のキャストの方々とはどのように過ごされていますか? 福山さんはゲストの方も含めて気兼ねなくいろんな方とお話されますし、大泉さんは大泉さんでMCばりに現場を回して、キャストだけではなくスタッフも巻き込んでくださるので、みんなで一緒に楽しくなっちゃうようなアットホームな現場になっています。 ■福山&大泉の撮影は「カットがかかるまでアドリブでやり取り」 ――第6話(5月28日放送)の皆実と心太朗が将棋をさすシーンで、美声で「あ、4六角」と言った皆実に対して、心太朗が「何良い声で言ってんですか!」と突っ込むシーンがSNSで話題になっていましたが、こちらのシーンはアドリブだったのでしょうか? アドリブです。お二人とも毎回想像がつかないようなアドリブをされるので面白いです。ドライを含めてカットがかかるまでアドリブでやり取りされるのですが、面白くてずっと見ていられます。泣く泣くカットする場面もあるので、もったいないぐらいです。 ――アドリブを取り入れたシーンは、福山さんと大泉さんがお二人で話し合って作られているのでしょうか? 最初から話し合われていました。アドリブと聞くと面白い要素を想像すると思うのですが、最初の方で心太朗が皆実を拒絶するところから、どのように二人が仲良くなり、関係性がどう変わっていくのかという部分についても、結構早い段階からすり合わせました。珍しいことなのかもしれないのですが、一日一回撮影に入る前に福山さんと大泉さんに時間を頂いて、リハーサルをやったんです。第一話で二人が過ごすシーンのリハーサルをして、そこでどれぐらい距離感を取るかなども合わせていきました。 ――過去の皆実と心太朗の関係性が明らかになり、最終回に向けて41年前の事件が大きな山場になっていくかと思いますが、皆実と心太朗の過去を含めた関係性は、初期の頃から考えられていたものなのでしょうか? 二人が直接的な加害者と被害者の遺族であるということは、企画段階の冒頭から大事な側面として作っていきたいなと考えていました。それを含めてどういうふうに過去を清算していくのかをテーマに物語を作りたいとも思っていたので、そこは企画当初からあまり変わってないところです。 ■最終話のキーパーソンは「全ての真実を知っている人」 ――いよいよ6月25日(日)に最終回を迎えますが、最終回に向けてのキーパーソンは? いろんなことを知っている人ということを含めて、津田健次郎さん演じる鎌田國士ですかね。鎌田は現在のシーンでは何も語っていませんが、全ての真実を知っている人ですし、その真実というのはつらくもあり、ある意味幸せでもあり…すべての元凶を作った人でもあるので、そういう意味ではキーマンになってくるのかなと思います。 ■泉と吾妻の関係は… ――第9話は、泉が山藤に刺されるというシーンがあり、視聴者から今後の展開に心配の声が上がっていますが、最終回で泉はどうなるのでしょうか。 泉はすごくピュアなキャラクターだからこそ、いろんな真実を知ろうとしたり、正義に向かっていったりします。そうした中で、9話で元捜査一課長の山藤に刺されるという事件が起きてしまうのですが、彼のそういう行為なくして10話は解き明かされていかないので、すごく重要な役回りでした。護道家のことや、いろんなことを全て知った末に、彼自身が導き出す正義が変わるのか、もしくは今のピュアのままでいけるのかということも、最終回の見どころになってくると思います。 ――泉と吾妻の関係も気になるところです。 少しばかりではありますが、泉がずっと思い続けている吾妻さんとどうなっていくのかという部分も描きますので、ご期待いただければと思っています。 最終回は、最初から物語が大きく動き、制作陣も自信を持ってお届けできる内容になっているので、ぜひご覧ください!